日本人選手初のホームラン王獲得、WBC優勝、MVP受賞など先入観を覆し、不可能を可能にする大谷翔平選手の活躍はいつも我々に勇気を希望を与えてくれます。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
「大きな夢は小さな目標の総量である」、つまり「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素ということだと思います。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための「ポジティブ思考」の神髄に迫る話題の書籍『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、自分を成長させる大谷選手の思考法を解説していきます。
【大谷翔平選手のような一握りの超一流の人たちの共通点】行動できない人は思考が停止している人
思考は行動という花火の導火線です。思考することなくして行動はあり得ません。逆に積極的に行動している人の脳は活発に働いているということです。
このことについて大谷選手はこう語っています。
「何も変わらないより、何かを変えていったほうがいい。何も変わらなかったら、前の年と同じ結果になる可能性は高いですし、変化を求めていったほうが僕は楽しいと思うんですよね。これが良かった、これが悪かった。そういうのを繰り返したほうが面白いんじゃないかと思うんです」(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社)
つまり思考と行動のループを頻繁に行うことにより、それが習慣として定着し、行動力のある人間に変身できるのです。それだけでなく、このループが定着すれば、行動だけでなく思考速度も上がるのです。そして最終的には、「考えながら行動する」というレベルに到達できるのです。
ここで一つ留意すべきことがあります。「出てしまった結果についてはくよくよ考えない」ということ。
「結果を反省して次の行動につなげる」ということがこれまでの常識でした。しかし、反省すると、心はどんどん落ち込んでいきます。さらに、失敗という事実が鮮明に記憶されるためにネガティブなイメージが積み上がっていくのです。このネガティブ思考が生まれてしまうと、行動を抑止するのです。
コーネル大学のトーマス・ギロビッチ博士は、「人生を振り返ってもっとも後悔することは何か」についての調査を行いました。
その結果回答の75%が、「しなかったこと」への後悔でした。大事な場面で「失敗した経験」よりも、「行動しなかったこと」を私たちは悔やむのです。
それに対して、何かを「した」後悔のほうは、わずか25%でした。つまり、それは「しなかった」後悔より3倍少ないのです。
私たちは、機会が失われ、将来的にもそれを変えることができないと思うと、深く後悔してしまうことがわかっています。逆に言うと、「まだまだやり直せる」「いつだってリカバリー可能」と考えることができれば、それほど後悔もしないのです。
アーカンソー大学の心理学者デニス・ベイク博士は、オンライン調査によって40歳から73歳までの人に、「人生で後悔していること」を尋ねました。多くの人々が、自分の仕事に関して後悔を感じていましたが、「私は、やり直せる」と思っている人は、仕事への後悔がないことも判明したのです。
たとえ失敗したとしても、「もう一度チャレンジすればよい」と、考えれば、心が明るくなってモチベーションも維持できるのです。
悪い結果はもちろん、良いことも忘れ去ってリセットしてゼロからスタートさせる。それはまさに、大谷選手の思考法です。
大谷選手の野球に取り組む姿勢は、一貫してリセットして投げたり、打ったりしていること。
それは日々のリセットだけでなく、ゲームにおける1球ごとのリセットにも表れています。もちろん、彼は投手として打者の過去のデータを頭に入れますし、打者として対戦する投手の球種を頭に入れておくこともあります。
しかし、過剰な情報は、自然な身体の動きを抑制してパフォーマンスを発揮する上で障害になります。ただひたすら心をリセットして「無の境地」になって1球1球相手と対峙する、この姿勢が私たちにも求められるのです。
悪いことが起こったとき、反省してそれに囚われていると、持てる潜在能力を発揮することができません。
もちろん失敗から学ぶこともあります。その場合の秘訣をお教えしましょう。原因を一つだけ1行にまとめて、10秒以内でメモすることを習慣づけるのです。そうすれば悪い結果に囚われず、次のステップへと踏み出すことができます。
逆に良いことが起こったときには、その感覚をイメージとして10秒間かけて脳裏に描くようにしましょう。その行為があなたの自信につながります。
自分の行った行動の結果は10秒間という制限時間をかけてうまくフィードバックし、気持ちをリセットしましょう。これが大谷選手のような一握りの一流の人たちがやっている習慣なのです。
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いかがでしょうか?
大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法にはビジネスパーソンも学ぶことも多いと思います。ぜひ日々の小さな目標の実現を目指して一歩一歩、「できない」を「できる」に変える努力をしてもらえればと思います。
さらに詳しい解説は児玉光雄さんの著書、『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』をチェックしてみてください。
「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法
著/児玉光雄/アスコム
児玉光雄
1947年兵庫県生まれ。追手門学院大学スポーツ研究センター特別顧問、元鹿屋体育大学教授。京都大学工学部卒。大学時代はテニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院で工学修士号を取得。米国五輪委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員として、米国五輪選手のデータ分析に従事。過去30年以上にわたり、臨床スポーツ心理学者として、ゴルフ、テニスを中心に数多くのアスリートのメンタルカウンセラーを務める。また、右脳活性プログラムのカリスマ・トレーナーとして、これまで数多くの受験雑誌や大手学習術に右脳活性トレーニングを提供。この分野の関連書は100冊以上、累計発行部数は150万部を越える。主な著書はベストセラーになった『この一言が人生を変えるイチロー思考』(知的生きかた文庫)をはじめ、『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』(三笠書房)、『能力開発の専門家が作ったそうぞう力とさんすう力がみるみる育つこども脳トレドリル』『頭がよくなる!「両利き」のすすめ』(いずれもアスコム)など200冊以上。日本スポーツ心理学会会員、日本ゴルフ学会会員。
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