日本人選手初のホームラン王獲得、WBC優勝、MVP受賞など先入観を覆し、不可能を可能にする大谷翔平選手の活躍はいつも我々に勇気を希望を与えてくれます。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
「大きな夢は小さな目標の総量である」、つまり「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素ということだと思います。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための「ポジティブ思考」の神髄に迫る話題の書籍『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、自分を成長させる大谷選手の思考法を解説していきます。
【大谷翔平選手の成功方程式を読み解く】自分の人生はすべて自分で決断しよう
2023年の契約に合意しました。年俸調停権を持った選手としては史上最高年俸額となり、米経済誌「フォーブス」によると、今回の契約とスポンサー収入などを合わせて、5000万ドル(約72億3700万円)になると見られ、この額は今年のMLB の高額収入選手リストでメジャーで2番目に「稼ぐ選手」になると分析しています。
2018年にアメリカで3000名以上を対象にした「成功に対する見方」についての大規模な意識調査が行われました。その設問の一つが「社会が定める成功の定義に含まれるものは?」というものでした。その問いに対して「富」と「地位」の二つが最上位の回答でした。
その中で私が特に興味を持ったのは、「あなたはこの定義に同意するか?」という設問とその回答でした。「この定義に同意する」と答えたのはわずか18%。そして40%の人たちが「それらは次第に社会の見方からかけ離れつつある」と答えたのです。
もっと注目すべきは、彼らの大多数が「成功を個人的に定義するとしたら、幸福感と達成感こそがもっとも重要である」と答えたことです。確かに、「富」や「地位」はほとんどの人間にとって魅力的ではあるのですが、それを獲得した人たちが幸せかというと、必ずしもそうではないのです。
事実「富」と「地位」の両方を得ても不幸な人生を送っている人たちはたくさんいます。大谷選手も、「富」と「地位」に固執してはいません。
日本ハム時代の大谷選手が、両親から一ヶ月分のお小遣いとして渡された10万円でやり繰りしていたというのは有名な話です。しかも、それもほとんど遣わずに貯蓄に回していたというのです。
ノーベル経済学賞を受賞した著名な経済学者であるプリンストン大学のアンガス・ディートン教授の研究によると、「ポジティブ感情」「憂鬱でない」「ストレスフリー」の3つの指標で収入と幸福度の相関関係を調査した結果、年収4万ドル(約560万円)までは、年収に比例して幸福度は高まるが、年収6万ドル(約840万円)くらいになるとそれは横ばいになり、年収8万ドル(約1120万円)を超えてしまうと、幸福度はほとんど高まらなかったのです(図表3)。
結局「富」や「地位」というものは、日々の幸福感や達成感を感じながら行った成果のご褒美として捉えることが重要なのです。
ミズーリ大学のケニー・シェルドン博士とカリフォルニア大学リバーサイド校のソニア・リュボミアスキー博士による研究を紹介しましょう。
学生を無作為に二つのグループに分け、一方には、「この学期中に『環境』に良い変化があった人は登録してください」と伝え、もう一方には、「この学期中に『行動や目標』に良い変化があった人は登録してください」と伝えました。そして、どちらのグループにも、登録した後に変化の内容を書いてもらいました。
その結果、「環境変化グループ」よりも、「行動変化グループ」のほうが、「自分の意思で実践して変化が生じた」と回答しました。そして、この行動変化グループのほうが、変化のためにより多くの努力を払っていたのです。
大谷選手が「行動変化グループ」に属する人間であることは、論を俟たないのです。このことに関して、大谷選手はこう語っています。
「周りを自分の思うように変えたいとは全く思いません。他の人を変えるのはなかなか難しいし、『自分のために変えてくれ』というのも変な話なので。できるのは自分で自分を変えることだと思いますが、正直、自分のことでさえ変えるのは簡単ではなくて、自分が自分のポジションでできることをやっていくしかありません。その結果として僕の努力を見た人が『自分も頑張ってみよう』と思ってくれたら素晴らしいことだと思うんですけど、それを最初から『お前も頑張れ』というスタンスでは難しいと思っています」(www.salesforce.com)
自分がコントロールできることに的を絞って、果敢に行動を起こすことこそ、大谷選手のような一握りの一流の人たちの共通点なのです。
この大谷選手の言葉からもわかるように、彼の素晴らしいパフォーマンスにより、それはファンにも伝わり、彼らの心が触発され、好ましいパフォーマンスを生み出すのです。
あなたは、ゼロサムゲームという経済用語を知っていますか? 簡単に言うと、ある組織における参加者全体の利益と損失の総和はゼロになる、というものです。ポーランドのグダニスク大学の心理学グループは、「誰かの成功があれば、誰かの失敗が存在する」というゼロサム信念の強さについて、国ごとにどのような傾向があるかについての面白い研究結果を発表しています。
世界43カ国を調査したデータでは、日本人は20位で、ゼロサム信念は世界的には平均的な得点になりました。
しかし、このゼロサムゲームは、資源が限定されているという状況の中で生じる現象に過ぎないのです。幸福やパフォーマンスという尺度に、それは適用できないのです。私たちが幸福であることは、周囲の人たちも幸福にします。そして、周囲の人たちが幸福であることが、私たちの幸福にとっても大切なのです。もちろん、パフォーマンスも同様に伝播するのです。
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いかがでしょうか?
大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法にはビジネスパーソンも学ぶことも多いと思います。ぜひ日々の小さな目標の実現を目指して一歩一歩、「できない」を「できる」に変える努力をしてもらえればと思います。
さらに詳しい解説は児玉光雄さんの著書、『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』をチェックしてみてください。
「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法
著/児玉光雄/アスコム
児玉光雄
1947年兵庫県生まれ。追手門学院大学スポーツ研究センター特別顧問、元鹿屋体育大学教授。京都大学工学部卒。大学時代はテニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院で工学修士号を取得。米国五輪委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員として、米国五輪選手のデータ分析に従事。過去30年以上にわたり、臨床スポーツ心理学者として、ゴルフ、テニスを中心に数多くのアスリートのメンタルカウンセラーを務める。また、右脳活性プログラムのカリスマ・トレーナーとして、これまで数多くの受験雑誌や大手学習術に右脳活性トレーニングを提供。この分野の関連書は100冊以上、累計発行部数は150万部を越える。主な著書はベストセラーになった『この一言が人生を変えるイチロー思考』(知的生きかた文庫)をはじめ、『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』(三笠書房)、『能力開発の専門家が作ったそうぞう力とさんすう力がみるみる育つこども脳トレドリル』『頭がよくなる!「両利き」のすすめ』(いずれもアスコム)など200冊以上。日本スポーツ心理学会会員、日本ゴルフ学会会員。
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