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偏差値は集団内での位置付けを示す数値です。学校のレベルを判定するほか、テストの得点から学力を測定する場合などに使われます。偏差値は、計算方法を知っていれば誰でも算出できるものです。求めるための計算式や特徴、注意点などについて解説します。
偏差値の求め方
偏差値の計算方法は二つあります。どのように求めるのか、具体的に見ていきましょう。
■偏差値の計算方法
偏差値は、対象者の得点・属する集団の平均点・標準偏差を使い、『(対象者の得点-属する集団の平均点)÷標準偏差×10+50』という計算式に当てはめて求めます。
標準偏差とは、受験者全員の点数のばらつき具合を表した数値のことで、全体の平均点と受験者の点数との差などから算出されます。ここでは、標準偏差20のテストで、全体の平均点が70点・対象者の得点が80点だった場合を例に計算してみましょう。
(80-70)÷20×10+50=55
計算式に各数値を当てはめて算出すると、偏差値は55という結果が出ます。
■標準偏差なしでの計算方法
正確な偏差値を出す上では、標準偏差が必要です。標準偏差を算出するには受験者全員のデータが必要となるため、個人で割り出すのは困難な場合もあります。しかし標準偏差が分からなくても、個人の点数と平均点が分かれば、おおよその偏差値の算出は可能です。
標準偏差を用いずに偏差値を概算するには、『50 +(対象者の得点-属する集団の平均点)÷ 2』という計算式を用います。例えば、全体の平均点が70点で対象者の得点が80点だった場合は、以下のような結果です。
50+(80-70)÷2=55
このように、標準偏差を用いた場合と同様の55という数値が算出できます。
そもそも偏差値とは?
偏差値という言葉や使われるシーンは知っていても、そもそもどのような意味があるのか分からない人も多いかもしれません。算出する目的や、数値の見方などについて解説します。
■集団内での自分の位置を示す数値
偏差値とは、集団の中で自分がどの位置にいるかを相対的に示す数値です。例えば、平均点が70点で自分の得点が80点だった場合、平均点を上回っていることだけは確認できます。
しかし、受験者全体の中で自分がどの位置にいるかまでは把握できません。仮に平均点を上回っていても、受験者全員の得点を見なければ、上位の成績なのかは判断できないからです。
偏差値は、全体の得点のばらつきも含めた上で算出するものなので、集団内での位置付けを把握できる指標といえます。
■偏差値は「50」が基準
偏差値は『50』を平均としているため、テストで平均点を取った人は必ず50になるように設定されています。そこを基準とし、自分の得点がどのくらい平均から離れているかによって、相対的な位置付けを示すものです。
上限・下限が決まっていないため、場合によっては100以上や0以下になるケースもありますが、通常は25~75の範囲内になるのが一般的です。
また、標準偏差の平均は10になるように調整されていますが、受験者全体の点数のばらつき具合によっては数値が上下に変動します。
■偏差値の特徴
一般的に、数値が高いほど高成績であることを表すものとされています。平均値を50としているため、55なら平均と同レベル・70は上位・30は下位ということです。ただし、複数のテストで同じ点数を取ったとしても、同じ偏差値になるとは限りません。
それは、平均点や点数のばらつき具合によって計算の結果が変わるためです。例えば、80点を取ったテストでも、平均点が80点なのか70点なのかによって結果は異なります。
また、同じ平均点70点でも、80点以上が多い場合とほとんどが80点以下の場合では、同じ結果になりません。そのため、数学と社会の点数はどちらも80点だったのに、偏差値が異なるということも起こり得ます。
偏差値の注意ポイント
偏差値を扱うに当たり、注意点についても知っておきましょう。気を付けるべきポイントを二つ紹介します。
■偏差値は母集団によって変わる
偏差値は、平均点や得点のばらつきなど、母集団の特性によって結果が大きく異なるのが特徴です。ある程度の人数が受験しているテストなどで自分の位置付けを把握するのには役立ちますが、受験者数が少ない場合は利用価値が低くなります。
受験者数が10人程度の試験でも算出すること自体は可能です。しかし、収集できるデータの数が少ないため、学力などを正確に判断する基準としては使えないと考えた方がいいでしょう。
また、同じ集団の中でのみ比較が可能という点にも注意が必要です。例えば、校内の学力テストと全国模試とでは、受験者数や平均点が異なるため、比較はできません。
■内申点と偏差値は別物
入試などの際に参考として使われる数値としては、内申点もあります。各教科の評定を点数化した数値で、個人の内申書に記載されるものです。
入試の際に重視される数値の一つですが、都道府県ごとに計算方法が異なります。内申点は5段階で評価されますが、オール3(中間点)を取ったとしても、偏差値が50とは限りません。
内申点の表し方が、3を平均とした『相対評価』から、個々の到達度を評価する『絶対評価』へと変わったため、オール3は必ずしも全体の平均とはいえないからです。また、両者はそもそも判断する基準が異なるので、内申点から偏差値を求めることもできません。
構成/編集部