「LRT」を知っているだろうか?
「Light Rail Transit(ライト・レール・トランジット)」の略で、次世代型路面電車ともいわれる交通インフラの1つだ。
日本での事例はまだ少ないが、2023年の夏に最新のLRTである「宇都宮ライトレール」が開通したことで大きな話題を呼んでいる。
そこで今回はこのLRTの魅力を探るべく、今夏開通した宇都宮ライトレールの特徴やメリットをまとめた。軌道事業者の方に伺ったインタビューや体験レビューもあるのでぜひ参考にしてもらいたい。
「LRT」とは?
LRTは、人と地球にやさしい便利な交通手段として北米やヨーロッパを中心とした海外の都市部では盛んに利用されている。
「ライトレール」の直訳は軽量軌道だ。対して、JRや地下鉄など輸送能力が高い鉄道は重量軌道=「ヘビーレール」と呼ばれることがある。ヘビーレールよりは低いが路線バスや従来の路面電車より高い “中間” 程度の輸送能力を持つ交通システムが、ライトレールやLRTと呼ばれている。
加えて日本でLRTというと、走行性能や快適性などが従来の路面電車よりも向上した「次世代型(新型)路面電車」という意味で使われるのが一般的だ。
【LRTの主な特徴】
● 車内・停留場に段差のないバリアフリー式
● 専用空間を走るなど、郊外で高速化を図る
● 動力は電気で、排気ガスを出さない
● 走行時の騒音や揺れが少ない
● 高頻度運転の実施・他の交通モードとの乗り継ぎがしやすいなど、サービス水準が高い
大きな特徴の1つに、LRV(Light Rail Vehicle=低床式車両)がある。LRVの採用や、軌道・停留場周りの整備などによってバリアフリー性を高めたLRTは、従来の路面電車に比べて乗り降りがしやすいのが利点だ。小さな子供連れや高齢者の方、からだの不自由な方などの乗降にも配慮されており、利用者を選ぶことがない。
LRT専用の線路空間を走るため渋滞の影響を受けず、発着時間が正確で通勤・通学にも利用しやすい。走行中の振動や騒音は少なくストレスフリーな移動が叶う。
動力が電気なので、CO₂などの排気ガスを排出することがなく環境負荷が少ないのもメリットだ。地下鉄やモノレールに比べると建設費用が低コストな点も注目を集めている。