コロナ禍からクルーズ企業はV字回復中
2020年の新型コロナによって大打撃を受けたクルーズ業界ですが、実は2019年までは安定的に売上を伸ばしていました。特にクルーズ船は、自社で建造することで需要を拡大できるビジネスモデルにあり、大型の新しいクルーズ船を建造すれば、船の収容能力が増加し、驚くほどに需要も増加する傾向にあります。また大型のクルーズ船は1人当たりの運用コストが低くなるため、利益を上げやすく、料金を低く設定する余地も広がります。
この大型化と料金の低下によってクルーズ旅行が一般的に普及し、結果として世界中のクルーズ船の乗客数が急増し、2019年には2,970万人に達しました。
しかし、現在の株価は新型コロナ前の2018、19年ごろのピークから3社ともに半減しています。
ちなみに、大手3社のクルーズ乗客チケット売上の変遷は下記の通りです。
【カーニバル】(単位:百万ドル)
2018年13,930、2019年不明、2020年3,684、2021年1,000、2022年7,022
【ロイヤル・カリビアン】(単位:百万ドル)
2018年6,793、2019年7,857、2020年1,505、2021年941、2022年5,793
【ノルウェージャン・クルーズ・ライン・ホールディングス】(単位:百万ドル)
2019年4,517、2020年867、2021年393、2022年3,254
このように乗客チケット売上も順調に回復しており、2024年にはコロナ前の売上を超えることが期待されます。
その一方、売上のように株価は回復しておらず、投資家としてはクルーズ株の今後の株価上昇の行方について、注目したいところです。
おわりに 世界最大のクルーズ市場は米国
世界最大のクルーズ市場は米国であり、多くの旅行者がクルーズ船を利用して休暇を楽しんでいます。特にカリブ海を中心に航海するクルーズ船は、米国から出発し、多くの目的地を巡る魅力的な旅行オプションを提供しています。
カーニバル、ロイヤル・カリビアン、ノルウェージャン・クルーズ・ライン・ホールディングスの3大クルーズ企業は、それぞれ多くのクルーズブランドを所有し、世界中で数多くの船を運航しています。これにより、多様な旅行体験を提供し、さまざまな需要に対応できる優位性を持っています。
クルーズ乗客チケットの売上も、コロナ前の水準を取り戻しつつあり、2024年には再びピークを迎える可能性が高いです。
こうした理由から、クルーズ業界が再び成長の軌道に乗る可能性が高く、極めて明るい未来が待っていると考えられるのではないでしょうか。
今回は米国企業深掘りシリーズ「米国3大クルーズ株」の解説をさせて頂きました。
次回もよろしくお願い致します!
※この記事ではクルーズ株について説明しましたが、あらゆる意思決定や最終判断は、自身の責任において判断をお願い致します。ご自身の資産運用などで損失が生じた場合、一切の責任を負いません。ご了承くださいませ。
文/鈴木林太郎