オーストラリア関連のスピーカーが目立つ
SXSWシドニーは本家ほどではないが、それでも全てのプログラムを見ることはできないほどボリュームがあり、カンファレンスも話題性の高いテーマがいろいろ取り上げられていた。ただし、スピーカーは地元からの参加が目立ち、内容もとオーストラリアに関連する方向で話が進められることが多いという印象であった。
例えば、オーストラリアを代表するオスカー女優、ニコール・キッドマンが登壇したカンファレンスでは、彼女が設立した映画製作会社「ブロッサム・フィルムズ」について、共同設立者でパー・サーリと一緒に語り合うという内容だった。
また、女性の更年期障害を考える活動で注目を集めている女優のナオミ・ワッツが登壇した理由は、彼女がオーストラリアの二重国籍を持ち、15歳の時にオーディションでニコール・キッドマンと出会ってから親友関係にあることが関係していると思われる。
オーストラリアの二重国籍を持つナオミ・ワッツもスピーカーの1人として登壇した。
Facebookの内部告発者が登壇した注目のセッション
ここでは著者が参加したセッションの中からいくつから注目の話題をピックアップして紹介する。
Blowing the whistle on big tech: transparency and accountability in the age of AI
(ビッグテクノロジーの内部告発: AI 時代の透明性と説明責任)
生成系AIの登場は映画や音楽の世界に大きな影響を与えており、ハリウッドで起きたストの理由の一つにもなっている。AIに関連するセッションの多くが、その活用方法や透明性について取り上げており、本セッションでは旧Facebookを内部告発した人物や、元MSで政府との交渉を担当してきたスピーカーが登壇し、デジタル企業に求められるべき説明責任のあり方について興味深い議論が行われた。
: Navigating Identity, Expression, and Inclusivity
(VR/AR が文化と社会をどのように変革できるか: アイデンティティ、表現、包括性をナビゲートする)
VRやAR、空間コンピューティングがビジネスやサービスとして広がりつつあり、これらの新しい技術が社会や文化に与える影響について、VRヘッドセットを開発するHTC Viveの関係者とメタバース業界のキーマンが議論した。低価格のデバイスが登場したことで、メタバースは学校や家庭でも利用されるようになるが、重要なのはソフトウェアで、運用やコンテンツ制作をどこが主導していくのかといったことも考える必要があるだろうといったコメントが交わされた。
Flying car in your driveway? Sooner than you think
(あなたの私道に空飛ぶ車はありますか?思っているよりも早く)
空飛ぶカーレースの実現を目指すオーストラリアのスタートアップ「Airspeeder」が、現時点での開発状況と今後の計画について紹介した。冒頭では現在オースティンで行われているデモ飛行の映像も紹介された。ドライバーの育成も始まっているが、ポイントは猛スピードで空を飛ぶカーレースをどのように中継するかだという。巨額な資金が必要になるため、今後も投資家を増やしていくと話していた。