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2025年の新築住宅における省エネ基準義務化で、既存物件のZEH水準リノベーションに注目が集まる理由

2023.11.09

積水化学とリノベるが取り組むZEH水準のリノベーション第1号案件「グリーンシティ鷺沼」

住まいの省エネ・断熱化を推進するため、積水化学とリノべるが協業しZEH水準のリノベーションに取り組んでいる。

ZEH(net Zero Energy House)は高断熱化、省エネ化、創エネにより正味のエネルギー収支ゼロ以下を目指す家のこと。

両社の目指すZEH水準リノベーションとは、ZEHの3要素のうち、創エネを除いた高断熱化と高効率化の基準を満たす「ZEH Oriented」に適合したリノベーションとなる。

断熱等級5に加えて、設備等の高効率化により省エネ基準より、消費エネルギーを20%以上削減。ZEH水準は2025年の義務化にされる省エネ基準を1つ上回る基準で、2030年の国の誘導基準となり、来年度から住宅ローン減税の上乗せ措置も始まることから、新築住宅ではZEH水準がエフェクトスタンダードになりつつある。

また、マンションでは創エネが難しい場合もあり、ZEH水準の省エネ性能、断熱性能を確保した新築マンションが増えている。

しかし、リノベーション業界ではZEH水準のリノベーションが進んでいないのが現状。2社は普及に向けた解決策として、ノウハウ不足と手続の煩雑さといった課題に対し、物件の取得時に温熱計算を含む設置水準での設計・施工、BELS申請、補助金のアドバイスまで、リノベるが窓口となりワンストップで対応する。

断熱施工では、積水化学の断熱特許工法「マルリノ」を採用。マルリノは住戸全体をスケルトンにして高性能断熱材や内窓を設置することで、冬場などでは発生しやすい壁内結露を防止し、カビ発生率高を抑制する独自の工法。また、スケルトン時に現場で確保することが難しい電源が不要で、建物サイズに合わせた断熱ボードをはめ込む工法のため、施工しやすく、施工品質が安定する。

再販事業者、ユーザー共に費用対効果が見えにくいという課題に関しては、納得感ある費用対効果の設計、顧客にしっかりとメリットを伝えることのできる環境を提供していく。

これらのマンションを対象にしたZEH水準リノベーションは、リノベる、積水化学それぞれの買取再販事業、個人向けのリノベーションの請負事業、法人向けリノベーション請負事業の3チャンネルで展開する。

第1号案件が「グリーンシティ鷺沼」。1982年竣工のマンションをZEH水準にリノベーション、占有面積66m²、販売予定価格は4980万円。

改修前の間取りは3DK、キッチンがクローズドタイプで、ダイニングも8畳と小割にされた間取(下記画像左)。小さな子どものいる共働きのファミリーを想定し、リノベーション後は南側のワイドスパンを活かした16.5畳の広いLDKを設置した2LDKとし、キッチンと洗面室をつなぐウォークスルークロゼットやウォークインクロゼットなど、随所に収納を取ったプランとなった(同右)。

リビングの脇にワークスペースを配置、家事導線にも配慮した回遊性のある導線も特徴。ワイドスパンの広いリビングには、明るい印象のある無垢材のフローリングや、キッチンカウンターの直敷タイルなど手触り感のある素材を使用。北欧風の木のぬくもりを感じる内装や室内窓も好評を博している。

ZEH水準リノベーションとして、スケルトンに解体した上で旧排水管や配線、内装設備等をすべて新設し断熱改修を行った。

断熱は外壁側の壁面3面と天井にマルリノの断熱施工を実施し、開口部にはLow-E複層ガラスの樹脂サッシの内窓を設置した。省エネの設備として高効率エアコン、省エネ高効率の給湯器、高断熱浴槽、給湯・給水の配線にヘッダー方式を採用。

第三者認証であるBELS方式を取得し、温熱計算による光熱シミュレーションを行い性能の見える化を進めた。

この案件でのZEH対応に係る費用は約300万円。本物件のスケルトン状態(下記画像左・7月17日外気温34.6℃)と、断熱工事を実施した後(同右・7月26日外気温36℃)のヒートマップの写真の比較すると断熱効果が一目瞭然。。内窓を設置する前の写真のため、まだ開口部が赤くなっているが、現在では内窓を取り付け、窓周りも断熱性能が確保されている。

本物件の断熱省エネの性能は、UA値は0.51、省エネ基準におけるエネルギー削減率は26%、BEIは0.74。ZEH Oriented、BELSの5スター、リノベーション協議会のR1エコ2スターを取得している。

光熱費削減シミュレーションでは、リノベーション前の年間の高熱費31万2472円/年が、リノベーション後は21万9387円/年となり、年額で9万3085円、約30%削減されると算出された。

【AJの読み】ZEH水準の断熱・省エネ性能は家選びの重要な条件に

昨今は電気代など光熱費が上昇しており、先ほどのシミュレーションでは月々にすると7757円の削減だが、これは住宅ローンで300万円相当の月々の返済額と同等となる。断熱をしていない既存住宅を購入するのに比べ300万円、物件価格がお得になると考えられる。

住宅ローン減税においても、ZEH水準の物件は上乗せ処置が受けられるため、ZEH水準にすると減税額は2023年時点では99万円、来年以降は控除期間も長くなり、ZEHとすることでの減税総額は177万円と試算される。ローン控除額の拡大という面でも一般ユーザーのメリットが大きい。

新築物件でなくても、ZEH水準リノベーションが施行された中古物件なら快適な生活が確保でき、ローン減税、光熱費削減とユーザーの負担も軽減される。ZEH水準の断熱・省エネ性能が必須になるといえるこれからの時代、家選びの重要な条件となるだろう。

文/阿部純子

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