「感じがいい人」は、日常でもビジネスシーンでも、得をする!
「能力には大差ないはずなのに、なぜか『感じがいい人』というイメージが強くて、いろいろなところで得をしている」――あなたのまわりにそんな人はいないだろうか。
延べ5万人以上にコミュニケーションの指導をしてきた産業カウンセラーの大野萌子さんによると、「感じがいい人」は、絶妙なコミュニケーション術を無意識のうちに、あるいは意識的に身につけているという。
大野さんの著書『仕事も、人間関係も、驚くほどうまくいく! 「感じがいい人」の行動図鑑』(以下『「感じがいい人」の行動図鑑』)では、「感じがいい人」の65のアクションをピックアップ。なぜその言動が周囲に「いい感じ」を与えるのかを、わかりやすく解説している。
あなたの日頃の行動は果たして、「感じがいい人」のパターンにあてはまっているだろうか。以後、同書の内容の一部を5つのシーン別にクイズ形式で紹介していくので、ぜひセルフチェックしてみてほしい。第1回目は、【日常会話編】。
累計50万部突破のベストセラー『言いかえ図鑑』シリーズ著者の著書。『仕事も、人間関係も、驚くほどうまくいく! 「感じがいい人」の行動図鑑』(大野萌子著)。「日常会話」「メール・WEB会議」「職場」「社外・取引先」「プライベート」のシーン別に、65の「感じがいい」印象を与えるアクションを紹介している。
著者の大野萌子さんは、法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ(R)資格認定機関)代表理事。コミュニケーション・ハラスメント・メンタルヘルスに関連する研修・講演を、防衛省をはじめ大手企業等で年間150件以上行なう専門家だ。
信頼関係を構築するための上手な声かけはどっち?
A 「いつでも遠慮なく、気軽に聞いてください」
B 「会社にいる時間なら、いつでも遠慮なく気軽に聞いてください」
ヒント:実際に質問される状況をイメージしよう
★正解…B
「いつでも」「遠慮なく」というウエルカムな言葉は、初対面や、少し距離のある相手があなたに相談することへのハードルを下げ、「感じがいい人」という印象を与える。とはいえ、使い方には注意が必要だ。なぜなら、あなたがいつどんな時でも、相手が望んでいるような対応ができるならいいが、そうできない場合は逆に関係を壊す結果になりかねないからだ。
「特に今はオンラインで対応することが多いため、自宅でくつろいでいる時に延々と相談される、ということもあり得ます。両者が考えている『いつでも』が同じではないと理解し、ウエルカムな態度を示しつつも『このプロジェクトに関する問題なら』『会社にいる時間なら』と、あなたが実際に対応できる範囲を明確にすることも必要です。そのうえで真摯な対応をすれば、相手との距離が縮まり信頼度も高まります」(大野さん)
同僚や後輩から悩みを相談された時の上手な対応はどっち?
A 「そうか、君は◎◎がつらいんだね」
B 「わかるよ、私もそうだった」
ヒント:大切なのは「同感」よりも「共感」
★正解…A
同僚や後輩から悩みを相談された時、どう答えたら感じよく受け止めてもらえるのか。よくあるのは、相手の気持ちを軽くするために「わかるよ、私もそうだったから、大丈夫」などと同感の言葉をかけること。しかし大野さんによると、この場合は単に同感している自分の気持ちを伝えているだけ。相手の気持ちに寄り添っているようで、実は自分の経験や気持ちを押しつけているように受け取られることもあるそうだ。また同感を示すことで相手が自分を絶対的な味方のように感じると、依存度が高まり、後々相手が望まない対応をした時に否定の気持ちがより強くなる場合も…。
「悩みを相談された時に自分を主語にして『私もそうだったから大丈夫』などと答えるのはNG。大事なのは、 “共感”です。『あなたは◎◎と思ったんだね』とあくまでも相手を主語にして相手の気持ちを繰り返し、質問されたら『あなたはどうしたいの?』と逆質問をしてください。その答えを探す中で相手は自分の気持ちを整理して、自らの考えに納得することができるのです」(大野さん)
新人歓迎会などで初対面の人と距離を縮めたい時の会話は?
A 「最近、◎◎にハマってるんだ」
B 「最近ハマっていることってある?」
ヒント:「クローズドクエスチョン」よりも「オープンクエスチョン」が◎
★正解…A+B
新人歓迎会などで、相手との距離を縮めようと、家族のことや交際相手のことなど、あえてデリケートな部分にふれる質問をする人がいまだにいる。これはもちろん、NG。相手を不快にさせるばかりでなく、場合によってはその質問自体が傷つけることもある。
「初対面の人との距離を縮めたいなら、まずは自分の情報を開示した上で、相手が答えやすい形で質問を投げかけること。例えば、『君はゴルフは好き?』という質問は、YESかNOかでしか答えられない“クローズドクエスチョン”なので、会話がすぐ終わってしまうことも・・・・・・。『僕は最近ゴルフにハマっているんだけど、君は何かハマってることある?』『最近、自炊を始めたんだけど、レパートリーがなかなか増えなくて…。君は何か得意な料理ってある?』というように、話が広がる答えが得られやすい“オープンクエスチョン”を心がけると、会話に弾みがつきます」(大野さん)
結果はどうだっただろうか。「『感じがいい人』の行動図鑑」の【日常会話】編だけでも16の「感じがいい」印象を与えるアクションの例が紹介されている。ぜひ参考にして欲しい。
文/桑原恵美子