BMW M社が開発する高性能マシンのMモデルにはカテゴリーが2種類ある。ひとつはMハイパフォーマンスモデル。これはサーキットでの本格的走行を可能としたモデルだ。もうひとつはMパフォーマンスモデル。こちらはサーキットで培われたノウハウを取り入れ、走行性能を高めたモデルである。
「M2 クーペ」は、Mハイ・パフォーマンスモデルとして開発された。初代は2016年に登場。「3シリーズ」よりもコンパクトな「2シリーズ」の2ドアクーペをベースに開発されたモデルは伝説のスポーツセダン「2002(にーまるまるにー)ターボ」の伝統を引き継ぐコンパクトスポーツとして、注目を集めた。今回試乗する「M2 クーペ」は2023年2月に誕生した2代目。パワーユニットはBMWのお家芸であるストレート6(直列6気筒)、3.0Lエンジンに、ターボを装着し、マニュアルミッション(958万円)、8速AT(958万円)が選べる。
横方向にワイドさを強調したデザイン
スタイリングは「2シリーズクーペ」をベースにしながら、横方向にワイドさを強調したデザインを採用している。大きく左右に張り出した四角いエアインテーク。細長く新デザインのヘッドライト。ブラックアウトされた横長のキドニーグリルは横バーを採用したフレームレス。左右のフェンダーも張り出している。サイドデザインはスポイラーが大きく、リアのブリスターフェンダーにつながっている。リアのブリスターフェンダーは縦のラインから大きく膨らんでいる。
リアタイヤは285/30ZR20、フロントは2752/35ZRのミシュランパイロットスポーツ4Sを装着していた。リアデザインはトランクをキックアップさせたスポイラー、左右の小さめなテールランプはLED技術を採り入れたもので、そのデザインはかつての「Z4」をイメージさせる。エキゾーストパイプは4本出し、リアディフューザーもバンパー下に備わっている。
ボディーサイズは、ノーマルのクーペよりも全長は20mm長く、全幅は60mmも広く、全高とホイールベースは5mm大きい。パワーユニットは直6、3.0Lターボで460PS、550Nmを発生する。駆動方式はセグメントで唯一の後輪駆動コンセプトを実現。前50、後50の重量配分で、絶妙なハンドリングを可能にしている。大排気量、後輪駆動という組み合わせを実現してくれた、というだけで、従来のスポーツモデルマニアにはたまらないのだ。