一定額まで投資による利益が非課税となるNISAには、投資商品を非課税で運用できる期間の限度「非課税保有期間」が設けられている。しかし、この非課税保有期間の制度内容について知らない方も意外と少なくないはず。
そこで本記事では、非課税保有期間の概要や期間が終了した際に行うべき対応などを解説する。今後NISAを始めてみたい方は、2024年から始まる新NISAでの変更点や現行NISAからの移行についてもチェックしてほしい。
非課税保有期間とは
NISAにおける非課税保有期間とは、購入した投資商品を非課税で運用できる期間のこと。この期間が終了すると、投資商品から得られる利益が課税の対象となるため、各NISAの非課税保有期間がいつまでであるかは事前に確認しておきたい。
現行のNISAでは、一般NISAとジュニアNISAが5年間、つみたてNISAについては20年間の非課税保有期間が設定されている。非課税保有期間が終了するのは、非課税保有期間が終了する年度の年末。 例えば、一般NISAでは、2023年1月に投資を行った場合も、2023年12月に投資を行った場合も、非課税保有期間の終了は2027年12月末となる。
非課税保有期間終了後の対応
NISA利用中に非課税保有期間が過ぎてしまった場合、運用していた投資商品についてどのような対応を取れば良いのだろうか。ここからは、3つの対応策を見ていこう。
課税口座に移管
非課税保有期間が終了した際の対応策としてまず挙げられるのは、課税口座への移管だ。この場合、利用している金融機関によるものの、基本的には一般口座もしくは特定口座に自動で残高が移管されるため、特別な手続きは必要ない。ただし、課税口座への移管後はNISA口座利用中に非課税となっていた商品も課税対象となるため注意しよう。
非課税保有期間内に売却
非課税保有期間が終了する前に投資商品を売却するのも選択肢の一つだ。この場合、売却に際して生じた利益は非課税となる。ただし、非課税保有期間を過ぎてしまうと非課税にはならなくなってしまうため、売却期日には注意が必要だ。非課税保有期間が終了する年の12月末までに行った取引であれば非課税対象となることを把握しておこう。
翌年の非課税投資枠に移管(ロールオーバー)
非課税保有期間終了時には、投資商品を翌年分の非課税投資枠に移管することも可能だ。この移管はロールオーバーと呼ばれており、ロールオーバー可能な金額に上限は設けられていない。ただし、2024年から始まる新NISA口座へのロールオーバーはできない点は覚えておこう。
なお、現行NISAの枠を利用した商品の購入は2023年で終了となるため、2024年以降に取れる対策の選択肢は、課税口座への移管もしくは投資商品の売却の2つとなる。
新NISAでは非課税保有期間が無期限に
2024年、現行NISAはさらに便利で利用しやすい制度として、新NISAに生まれ変わる。制度の大きな変更点として注目されているポイントの中に、非課税保有期間の制限が撤廃されることが挙げられる。
現行NISAでは一般NISAおよびジュニアNISAは5年、つみたてNISAは20年という非課税保有期間が設定されていたが、新NISAではこれらの期間が撤廃されることとなった。よって、非課税保有限度額を超過しなければ、恒久的に投資商品を非課税で保有できることになる。
現行NISAで非課税保有期間が終了したときに行うロールオーバー等の手続きも不要になるため、より便利でわかりやすい制度になる。
現行NISAから新NISAへの移管は可能?
現行の一般NISAおよびつみたてNISA口座から新NISA口座への投資商品の移管はできない。ただし、2023年までに現行NISAで投資を行った商品が課税対象に変更されるわけではないので焦って売却する必要はない。各非課税保有期間の期間内であれば引き続き非課税となるため、新NISAとは別枠で非課税のまま保有できることになる。
【例】
・一般NISAで2022年に投資を行った商品→2026年まで非課税で保有可能
・つみたてNISAで2022年に投資を行った商品→2041年まで非課税で保有可能
現行NISAの非課税保有枠を利用できるのは2023年末までに「投資した商品」。また、現行NISA口座を有している場合、基本的に新NISA口座は特別な手続きなく自動で開設される。そのため、これからNISAを始めたい場合、必ずしも新NISAが開始されるまで待つ必要はない。
※データは2023年11月上旬時点のもの。
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文/編集部