外食の支出額はコロナ前平均を上回る勢いだがメニューで支出増に濃淡
足元では、外食への支出は回復傾向に転じている。総務省の家計調査によると、2023年1〜8月における一般外食への支出額は1世帯当たり月平均で1万3000円を超え、コロナ前の19年(1万4050円)に並ぶ勢いで推移した。
ただ、コロナ前5年間の平均額と23年の支出額を比較すると、ハンバーガーや喫茶店、ラーメンなどの中華そば分野ではコロナ前を上回って推移する一方、居酒屋などを中心とした外食シーンでの酒類消費は大幅に落ち込むなど、メニュー別で回復度合いに濃淡がみられた。
食材価格の高騰や最低賃金の上昇といったコスト高を背景に、外食企業では2022年以降、相次いで値上げに踏み切った。ただ、23年にメニューの値上げを実施した企業は約4割にとどまり、「価格据え置き」や部分的ながら「値下げ」といった対応を行う企業が6割を占めるなど、価格戦略をめぐる企業の動向には温度差も鮮明となった。
ソニー損害保険が、全国の持ち家家庭で家計管理に携わる200名を対象に調査を行なった結果、値上げラッシュが原因で「卒業」した消費習慣の1位が外食だった。
飲み会などを手控える動きや、外食から自炊へ切り替える動きもあり、外食でも節約志向が強まっている。
一方、ファストフードやラーメンといった業態ではコロナ前よりも支出額が伸びるといった「メリハリ消費」の傾向もあり、こうした動向が今後の値上げ判断に影響を及ぼす可能性もある。
調査期間/2023年10月18日まで
調査機関/株式会社帝国データバンク
関連情報
https://www.tdb.co.jp/index.html
構成/清水眞希