海外から日本に入ってきたカタカナ用語の中には、日本独自の意味を持つものが少なくない。「アンバサダー」はそんな言葉の代表格だ。広報やマーケティング分野ではよく知られた概念だが、具体的にどういうものを指す言葉か、うまく説明できない人も多いはず。
そこで本記事では、「アンバサダー」の意味や実例、よく似たイメージの「インフルエンサー」との違いなどについて解説する。
「アンバサダー」の語源は「大使」「代理人」
「アンバサダー」は、英語を由来とする言葉。英語の“ambassador”は、「大使」や「使節」「特使」を意味する。また「(組織や特定分野の)代表者・顔になる人物」という意味もある。
日本語の「アンバサダー」は特定の団体のPR活動を行う人
日本語の「アンバサダー」は、英語の“ambassador”の2番目の意味(代表者・顔になる人物)を参考に、企業や自治体など特定の団体の代表として広報活動に従事する人物を指す。世間一般に好感度の高い芸能人や有名人、イメージキャラクターなどが採用されるケースが多く、商品・サービス・団体そのもののイメージアップを担っている。
「アンバサダー」と「インフルエンサー」の違いは?
「アンバサダー」に似た言葉に「インフルエンサー」がある。いずれもマーケティング上は、商品・サービス等の認知度を高める上で有力な存在だが、任命・起用されて就任するケースが多い「アンバサダー」に対して、「インフルエンサー」は自然発生的に特定分野での影響力を持つようになった存在だ。
広報活動としては、すでに一定の知名度や影響力を持つ「インフルエンサー」にPRを依頼する手法(インフルエンサーマーケティング)と、有名人の「アンバサダー」への起用・任命もパフォーマンスに含めた上で広報戦略に活用していく手法(アンバサダーマーケティング)という違いがある。
「アンバサダー」の具体的な事例をチェック
「アンバサダー」を理解する上では、具体的な事例をチェックするのが手っ取り早い。現在、一般によく知られている「アンバサダー」の事例を見てみよう。
インスタの「アンバサダー」とは?
写真・動画共有SNSの「インスタグラム」では、ポスト上でさまざまな企業の商品やサービスを使用・体験して口コミを寄せたり、活用アイディア等を発信したりするユーザーを「公式アンバサダー」と呼んでいる。公式アンバサダーに採用されると、企業ごとやフォロワー数ごとに決まった報酬が支払われる仕組みだ。インスタには企業ごとに公式アンバサダーの募集ページが設けられており、アンバサダー募集ページのまとめページも作られている。
ディズニーの「アンバサダー」とは?
ディズニーランドを運営するオリエンタルランドも「アンバサダー」の採用を定期的に行っている。ディズニーの「アンバサダー」は、ディズニーランド内でスタッフとして働く「キャスト」の中から選出される。日本の場合は、「東京ディズニーリゾート・アンバサダー」が2年に一回選ばれ、2年の任期中、テレビやラジオでの東京ディズニーリゾートの紹介や東京ディズニーリゾートを訪れる要人の案内、キャスト向けイベントでの司会やプレゼンターなどの活動を担う。
ブランドの「アンバサダー」は芸能人・有名人が多い
「アンバサダー」はハイファッションブランドでも多数起用されている。2020年代だけでも「シャネル」「ティファニー」「サンローラン」「ブルガリ」「ジバンシィ」「ルイ・ヴィトン」「フェンディ」「ディオール」など多数のブランドで日本人俳優や芸能人がアンバサーに就任し、話題となった。
ファッションブランドが日本の芸能人をアンバサダーに起用する理由としては、日本の市場、とりわけ若い世代に向けての知名度アップ・好感度アップなどが考えられる。
【芸能人がアンバサダーに就任する主なファッションブランド】
・シャネル:小松菜奈、宮沢氷魚
・ティファニー:三吉彩花、Snow Man
・サンローラン:常田大希(King Gnu)
・ブルガリ:森星、山下智久
・ジバンシィ:菜々緒
・ルイ・ヴィトン:広瀬すず、大坂なおみ、岩田剛典
・フェンディ:川口春奈
・ディオール:新木優子、横浜流星
※データは2023年10月下旬時点のもの。
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文/編集部