マイナンバーカードでバスに乗る
10月、高知県中土佐町でこんな取り組みが始まった。
バスをマイナンバーカードで乗車できるようにするという取り組みだ。
中土佐町では、65歳以上の町民は路線バスを無料で利用できる。が、従来の方式では利用の度に乗車記録をペンで書かなければならなかった。それをデジタル化しようという試みの一環で、マイナンバーカードによる乗車が開始されたのだ。なお、これは全国初の試みである。
路線バスの運賃割引もしくは無料化は、自治体単位で行う施策。そのような場面でマイナンバーカードを活用しようという発想は、まさしく「正しい使い方」である。
マイナンバーカードに関してはネガティブな内容の報道が目立つが、地方に目をやるとこうした活用が既に実行されているのだ。
合理化達成の切り札
今後、このような取り組みが全国各自治体で行われるとしたら、我々の生活はどのように変わるのだろうか。
たとえば、これは行政のユニバーサルサービスから脱線してしまうかもしれないが、「マイナンバーカード所持者限定の助成」といったものも実施されるのではないか。しかもそれは、人口減少が著しい自治体で行われる可能性が高いと筆者は見ている。
上述の中土佐町の事例は、つまるところ「紙の書類をなくすため」の取り組みである。人口が減れば市区町村の職員もいなくなり、それを補うための合理化は必須のものとなる。
逆に言えば、合理化さえ達成すればそれまで手間がかかり過ぎて不可能だった様々な助成やサービスを実行できるようになるはずだ。
「その後」の発想が最も重要
地域単位、企業単位の様々なサービスを可能にする「マイナンバーカードの空き容量」、この発想を最初に考えた人物は表彰されるべきだと筆者は考えている。
ただ、最も大事なのは「その後」。素晴らしい発想に真価を持たせるためのさらなる発想を、マイナンバーカードは求めている。
そういう意味で、マイナンバーカードは「成長の見込みのあるカード」と言えるのだ。
【参考】
マイナンバーカードによる図書館資料の貸出サービスを開始します-豊島区
https://www.city.toshima.lg.jp/143/bunka/shogai/toshokan/1709191317.html
ICチップ空き領域に搭載するカードアプリ(民間事業者向け)-総務省
https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/cardap.html
「公共交通マイナンバーカード活用実証事業」に参加-四国情報管理センター株式会社
https://www.jokan.co.jp/osirase_231005.html
取材・文/澤田真一