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『デジャブ』とは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか?心理学用語としての意味や、対義語を紹介します。似たような言葉である予知夢や正夢とは、何が違うのでしょうか?デジャブが起こる原因や現象の特徴、一般的な例も解説します。
デジャブとは?
『デジャブ』は、スピリチュアルな印象を持つ言葉です。まずは意味や類義語、対義語について見ていきましょう。
■「既視感」という意味
『デジャブ』は、フランス語『déjà vu』の片仮名表記です。『デジャヴ』『デジャヴュ』『デジャビュ』のように表記されるケースもあります。一般的なフランス語の『déjà vu』は、『以前に見た』という意味で使われる言葉です。
デジャブには、心理学用語としての側面もあります。心理学用語としての『デジャブ』は、日本語で『既視感』または『既知感』です。
既視感は、『見たことがないはずのものを見たことがあるように感じる様子』を意味します。解釈の範囲を広げると、『初めての体験にもかかわらず、以前に体験したように感じる様子』もデジャブです。
日本語で『デジャブ』というと、日常的なフランス語の意味ではなく、多くの場合、心理学用語としての概念を指します。フランスの心理学者が使い始めた概念とされ、日本語や英語としても定着している現象です。
■予知夢・正夢との違い
デジャブは、あくまでも『これまでに一度も体験したはずがないのに、体験したような気がする』という様子です。対して予知夢や正夢は、現実を予知するような夢の内容を指します。
予知夢は、『将来の出来事を予感・予知・暗示したような夢』や『夢で見た内容が現実に起こる現象』です。『危険を示唆する不吉な夢を見た後、現実に災害が起こる』『神のような人物から今後起きる出来事を聞かされる』といった内容も、予知夢に含まれます。
正夢は、『現実と一致する内容の夢』です。暗示やイメージではなく、夢で見た出来事がそのまま現実に起こります。いつもの通学路で青い自転車にぶつかられる夢を見て、数日後、夢と同じ場所で青い自転車にぶつかられるような状態が正夢です。
■デジャブの対義語「ジャメビュ」
心理学用語には、デジャブの対義語となる『ジャメビュ』という言葉があります。デジャブは初めての出来事をまるで過去に経験したように感じる様子であるのに対し、ジャメビュは『いつも見ているはずのもの・出来事を初めて見るような感覚』を指す心理学用語です。
デジャブは『既視感』と訳され、ジャメビュは『未視感』と訳されます。心理学用語のジャメビュは、フランス語の『jamais vu』が語源です。一般的なフランス語では『du jamais vu』で『前代未聞の』『今まで見たことのない』といった意味を持ちます。
デジャブの原因と起こりやすい人の特徴
心理学や脳科学の領域では、デジャブを『脳の誤作動』や『一般的な脳の働きによる現象』と捉えています。人間の脳の仕組みはまだ謎に包まれている部分が多いですが、デジャブが起きる原因とされる説や、デジャブ現象の特徴を見ていきましょう。
■類似性認知メカニズムが原因
デジャブが起きる原因は、まだ研究が進んでいない分野といわれます。デジャブが起きる要因として、人間の脳が持つ『類似性認知メカニズム』によるものではないかという説も有力です。
類似性認知とは、『異なるものを似ていると判断する脳の働き』を指します。最新の研究によると、並木道や校舎などよくある光景を見たときにデジャブ現象が起こりやすいことから、過去に見た光景がデジャブ現象を生起させているのではないかと結論付けています。
ノーベル生理学・医学賞を受賞している生物学者の利根川進さんは2013年に『人為的に誤った記憶を形成する実験』を行っており、デジャブ現象の一部が『脳や記憶の誤作動』によるものであるとも示唆されているようです。
記憶をつかさどる海馬の損傷や誤作動によって誤った記憶が形成されると、本来は経験していない出来事でも、まるで経験したような感覚が生まれると考えられます。
参考:光景の典型性が実験室内で感じるデジャヴ体験の生起率に及ぼす影響
■起こりやすいのは若い人
デジャブ現象が起きやすいのは、若い年代の男女です。アメリカや日本での調査によると、若い年代ほどデジャブを感じており、年を重ねるごとに頻度や割合が低下しています。
日本ではインターネット調査会社によるモニタリング調査で『デジャブの経験頻度』『場所』『人』『懐かしさ』などを調べています。あくまでもアンケート調査によるもので、脳の仕組みや記憶力が関係しているかは分かっていません。
若い世代では神秘的な体験に対する抵抗感が小さく、素直に表現できるのも要因と考えられるでしょう。年を重ねると『覚えていないくらい昔に経験しただけかもしれない』と自分の中で説明できてしまい、デジャブ体験を信じにくくなるのも関係しているかもしれません。
■ストレスの多い人にも起こりがち
デジャブはもともと、強い疲労やストレスによる記憶障害・混濁で、ごくまれに発生する現象と考えられてきた歴史があります。
環境や一時的なトラブルによってストレスを抱えていると、脳が誤作動を起こし、初体験の出来事をまるで経験したかのように感じる可能性は高くなるでしょう。
デジャブがよく起きる場合には、心身ともにゆったりとした時間を過ごすように意識するのもよさそうです。
デジャブの代表的な例
具体的にどのような状況を『デジャブ』と呼ぶのでしょうか?一般的によく知られている、場所や人に関するデジャブの具体例を紹介します。
■初めて見る景色を懐かしく感じる
これまで一度も訪れたはずがない場所なのに、なぜか懐かしく感じるといった状態はデジャブ現象の一種です。
単なる懐かしさだけでなく、初めて訪れた国にもかかわらず町並みや建物に見覚えがある、どこへ行けば何があるのか分かるといった状況も含まれます。程度の差はあれ、初めて訪れた場所でデジャブを感じる人は多いようです。
■会話の内容に覚えがある
家族や友人と話していて、『この内容を以前も話した気がする』と感じるのもデジャブの一種です。以前同じ会話をしたようにふと感じるだけでなく、話している最中に相手の答えが予想できてしまうというケースもあります。
毎日しているような日常会話でなく、これまでそんな会話をしたはずはないのに既知感があるのがデジャブの特徴です。
構成/編集部