コミュニケーションは相手も自分も楽しく
ジャンボさん あと、これは芸人だから特別に意識していることなのかもしれませんが、相手に正しく伝えたり、きちんと説明するだけじゃ、なんか意味ないというか、面白みがない。話す時も、自分でも楽しみながら 伝えたいと思っています。
もちろん、話す相手の方にも楽しんでくれないかな?みたいなことはいつも意識しています。インチキセールスマンって、そこのところがホントに上手なんですよ。
変なモノ売り付けられたら困るんですけど(だからインチキなんだけど)、そこのサービス精神は、普通の営業の人より、ちゃんとあるような気がする。方向性が違うだけで。お仕事の上での表現力もそういう面白み、みたいなところは入れられるし、作業的に伝えるよりも、スッと(脳裏に)入ってくる気がします。
人間関係でモチベーションを上げる
――最後に仕事のモチベーションを上げるためにしていることがあれば教えてください。
ジャンボさん これ本当にありがたいことに、俺、お笑い芸人になりたくてなったんで。モチベーションがない。お笑いオタクで、憧れていた芸人さんの世界に飛び込んで、モチベーション毎日、上がりっぱなし。
今、憧れの世界にいて、夢がかなってる最中、みたいな感じ。今回、初めての小説を書いたのですが、作品の中でもどれだけ芸人でいることが幸せか、ということが表現されていると、読者に言われました。ホントに「この世界が好きなんだね」、「今の仕事が楽しくてたまらないんだね」って。
でもまあ、芸人じゃない、稼ぐためのバイト時代とかもあって、そういう時は、人間関係をどんどん増やしていくことで、やる気を出すような感じでした。
バイト先で好きな人を見つけて、「あの人とあの話しをするの、すごく楽しい」ってことを増やしていく。その人ひとりだけじゃなくて、好きな人をどんどん増やしていって、その人がいるだけで、ワクワクできるようにする。「何々さんが、今日いる」って楽しんで、人間関係で仕事のモチベーションを上げていました。
――そうやって好きな人を探して仕事をしていれば、心を病まずにいられますね。
ジャンボさん うつ病とか、誰がどうなるかなんてわからない時代ですしね。病まずにいられたら良いのですが。 難しいですね。
芸人は「全コンプレックスが武器になる」と言われていますし、コンプレックスを含めた自分であるべきなのです。でも、逆にコンプレックスがあるからこそ、(独創的な)発想や考え方が生まれたり、人間形成の役に立つ。芸人の世界だけではなく、コンプレックスは絶対に悪くないものだと思っています。
――ありがとうございました。
軽くて面白いけれど、実はものすごく深い思想が隠されていた、ジャンボさんのインタビュー。小説も全く同じで、軽く読めるのに、意外とずっしり手ごたえのある作品に仕上がっている。作家・浅倉秋成さんも本の帯に「ちくしょう。ちゃんとオモれぇじゃねぇか」というコピーを寄せていた。浅倉さんが「ちくしょう」とくやしがっている理由を、あなたもぜひ、確かめてみて。
【レインボージャンボたかお】
吉本興業所属。相方の池田直人とお笑いコンビ、レインボーとして活動。現在は渋谷ヨシモト∞ホールが拠点。
千葉県千葉市出身、血液型 O 型。毎日コントをアップしている YouTube チャンネル『レインボーコントチャンネル』の登録者数は 100 万人を突破している。
「説教男と不倫女と、今日、旦那を殺す事にした女」
(KADOKAWA発刊、定価1500円+税)
文/柿川鮎子