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NTTが6G、IOWN時代のコアネットワーク「インクルーシブコア」アーキテクチャの確立とメタバースを活用した実証実験を開始

2023.11.05

3. 主な実証内容

上記のアーキテクチャの有効性を確認するために、AWS上にインクルーシブコアを実装し、メタバースをユースケースの例として、要素技術であるISAPとSSI基盤について、以下の点を実証した。

■メタバース空間状態と連動したIn-Network Computing基盤によるメタバース空間描画の起動・高速化の実証

MetaMe(※7)から移動できる空間(MetaMeコミュニティワールド)として接続した、SSIに基づくメタバースへの移動に合わせて、AWS上に展開された5Gコアネットワークの端末接続状態をISAPが連携。

ネットワーク内のハードウェアアクセラレータに動的にメタバース空間描画機能を起動することによる、高速な3D空間描画を実証で確認した。

図2  ISAPの実証

■個人のプライバシー情報を収集しないパーソナライズされたコンテンツ配信を可能とするSSIに基づくメタバースの実証

ISAP上に展開された個人のプライバシー情報を管理するセキュアIDウォレットにより、プライバシーに配慮した個人の属性情報の提示を実現し、メタバース空間上で個人を特定するような個人情報の収集を防ぎつつも、個人の属性情報に基づいてパーソナライズされたサービスの提供を実証で確認した。

図3 SSI基盤の実証

4. 今後の展開

同社では以下のようにコメントしている。

「本実証を通じ、ユーザーが端末やサービスに左右されずに、いつでもどこでも使いたいサービスを自分主体で安心安全に利用できるような、ユーザーが主導権を握ることができる新たなサービスの形態を提示できることを確認しました。

今後は、これらの要素技術を関連する国際的な標準化団体およびオープンソースコミュニティへ提案していきます。そして、6G/IOWNの本格導入が予定されている2030年に、標準仕様として社会に広く実装されることをめざします」

※1 In-Network Computing
アプリケーションレイヤの処理機能をネットワーク内のデータ転送機能に移譲し、遅延や端末の消費電力の低減しつつ、高性能・高機能なサービスを実現する技術コンセプトです。ネットワーク内にあるスイッチなどの装置へ情報処理をオフロードすることで、端末の負荷を低減することが期待されます。
※2 SSI
Self-sovereign identity(自己主権型アイデンティティ)の略称。SSIは、個人が自分自身のデジタルアイデンティティを所有し、コントロールすることを可能にするWeb3.0に関わる技術コンセプトです。SSIは中央管理者や認証機関に頼る必要がなく、ユーザが自分の情報を安全に管理できる仕組みを提供します。
※3 「NTT R&D FORUM 2023 -IOWN ACCELERATION」公式サイト
URL:https://www.rd.ntt/forum/
※4 CPS
Cyber-Physical System(サイバーフィジカルシステム)の略称。CPSは、物理的な世界(Physical)とデジタル世界(Cyber)が融合したシステムを指します。これらのシステムはセンサー、アクチュエーター、データ処理、通信技術を組み合わせ、リアルタイムで情報を収集、分析、制御します。CPSは自動運転車、スマート都市、産業用ロボットなど多くの応用分野で利用が期待されます。
※5 DID
Decentralized Identifiers(分散型識別子)の略称。分散型識別子は、SSIの基盤となる要素で、一意なデジタル識別子です。DIDは中央の機関に依存せず、ブロックチェーンなどの技術を使用して、ユーザが自分自身を一意に識別できるようにします。
※6 VC
zerifiable Credentials(検証可能な資格証明)の略称。検証可能な資格証明は、個人が所有するスキル、資格、属性などの情報をデジタル形式で表現したもので、信頼性を確認するための証拠を提供します。VCはDIDと結びついて使用され、信頼性のある方法で資格情報を共有できるようにします。
※7 MetaMe
株式会社NTTドコモが開発し、日本企業の新規事業開発やイノベーション創出を支援する事業共創カンパニーである株式会社Relic(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:北嶋貴朗、以下、Relic)がRelicの「オープンイノベーション事業」の一環として、大企業の新規事業創出を加速するインキュベーションパートナー・プラットフォーム「DUALii(デュアリー)」を活用し、運営するメタコミュニケーションサービス。2023年2月よりサービスを開始しました(「MetaMe」公式サイトhttps://lp.metame.ne.jp )。

関連情報
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/10/25/pdf/231025aa.pdf

構成/清水眞希

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