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つながらないと不満が続出しているドコモ、ネットワークの品質を改善するために重要なことは?

2023.11.02

ドコモはどうしていくべき?

房野氏:さきほど、ドコモは外部から言われて改善するとの話がありましたが、ではこうやって話すことが、ネットワークに反映される可能性はあると思いますか?

法林氏:相当あると思いますよ。

石野氏:すごく聞いてくださっている感じはします。

法林氏:ドコモって、NTTという看板があるから、親方日の丸で民意は聞かないよ、オレたちがやりたいようにやるんだよっていう風に受け取られそうなんだけど、全然そうじゃなくて、ちゃんとユーザーの声を聞く力があると思います。ただ、それが改善に結びつくかどうかは、いろんな環境もあるから、すぐにできないケースもある。あともう1つ、ドコモショップやサポートから上がる情報をうまく活かせていない感じがする。

石野氏:それはすごく感じますね。ドコモのエリア品質情報を送るWebサイトもあるんですけど、項目が多くてめっちゃ複雑なんですよ。声の大きい人が「5Gでパケ詰まりしているぞ」というと、すぐ動くんですけど(笑)

石川氏:現場はわかっている。ユーザーの声を聞いているし、ちゃんと記事も読んでいる。それがちゃんと上に上がって、ゴーサインが出るかどうかは別の話なんだろうなと。ゴーサインが出るのは、例えば契約者が減ってきたとかの数字に表れてくると変わっていくんじゃないという気がしています。

法林氏:ドコモのネットワーク品質が一番じゃなかったことなんて、W-CDMAのFOMA開始の時以外に、歴史上ないんですよ、基本的に。ドコモはずっと一番評価が高く、常に信頼されていた。だからKDDIの「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」も、ユーザーに対して言っている面もあるんだけど、KDDIの中の人間に対しても「自分たちはもっとつなぐように努力するんだよ」って発破を掛けている部分があると思う。ソフトバンクはボーダフォン買収直後の頃、山道の入口に「ここから先、ソフトバンクはつながりません」っていう看板を立てられちゃうくらいダメだった。だから宮川さんが必死に十数万局の基地局を建てた。エリアを作ることにすごい力をかけたので、その差はすごくあると思います。今は、ドコモ史上、FOMAを導入した以来の危機のはず。

ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一氏

房野氏:みなさんがドコモに「こうした方がいいんじゃない?」って提案することは?

石野氏:NTTからの独立ですかね(笑)

石川氏:ドコモの強みってネットワーク品質とドコモショップ網だったと思うんです。でも、今はショップを減らしてオンライン化したり、コスト削減したり、シェアリングして鉄塔を売っちゃったり、法人で儲けますと言ったりしている。ただ、法人もネットワークへの信頼感がないと仕事にならないわけで。

石野氏:ahamoや「home 5G」導入はアグレッシブで、そういう料金的な攻めというか、MNPでプラスに持っていくぞ、という姿勢は良いと思うんですが、それはあくまで今までの高いネットワーク品質が前提で、そのトレードオフとして色々捨てられてないですか? っていうのはちょっと感じるかなぁ。

法林氏:ドコモの中の人たちには、自分の担当している分だけじゃなく、隣の部門のことも、ちゃんと見ようねって言いたい。さっきのmy daizの話のように、ネットワーク側の人たちが「my daizアプリはこういう仕組みだから、こういうものを入れれば情報が取れるんじゃないの?」と提案するとか、もちろん逆にコンテンツ制作側からも提案できるはず。また、ショップを減らしてオンラインで頑張っていくのはわかるんだけど、逆があってもいい。オンラインから「ショップでどうぞ」という仕組みを作るとか。ドコモは全社的にやっている感が弱いですよね。KDDIはそこが会社としてうまくできていると僕は思う。ソフトバンクは元々、孫さんの下に集まって、掲げることについていくっていう感じがある。

石野氏:ソフトバンクは社長ですらプロパーじゃないですからね。

石川氏:ソフトバンクは寺尾さんがワイモパイルとソフトバンクの両方を見るようになったので、さらにシナジーというか連携が取れてくるだろうなと思います。一方、ドコモはirumoの料金プラン発表会で、元NTTレゾナントの人が説明していたことを見ると、料金プランでも細分化されているんだろうなって感じがする。

ソフトバンク 専務執行役員 寺尾洋幸氏

法林氏:ドコモの中に「OCN部」っていう部門があるんだよ。おかしいでしょ(笑) 最初に見た時思わず笑ったもん。会社の方向性として、NTTコミュニケーションズを統合して「法人で頑張ります」っていう気持ちは、すごくわかるんですよ。だけど、だからといってあれもこれも全部統合していって、でも独立してるOCN部を作っちゃって、それで情報が横に流れません、みたいな話になるのは、ちょっと違わないですかね。

石野氏:KDDIも、田中さん(代表取締役会長 田中孝司氏)が社長の最後の頃は、上位レイヤーに注力すると言い過ぎたせいで、じゃあネットワークはもういらないのか、みたいなムードになってしまった。髙橋さんが社長になって、その発想を引き締めるために……

石川氏:「5Gが中心にあって」という言い方をし始めた。

石野氏:「ネットワークを頑張りますよ」ってことをちゃんと言った。

法林氏:髙橋さんのネットワークに対する熱意はメディアにも伝わっているし、ユーザーにも伝わりつつあるので、そこの差は結構大きい。井伊さんのやり方が間違っているとは言わないけど、見せ方やユーザーへの伝え方を会社全体で考えていかないと。僕は改めてahamoはうまくやったなと思い直すことが増えてるんですけど、それ以外がね……。

株式会社NTTドコモ 代表取締役社長 井伊 基之氏

石野氏:井伊さんが出てくる会見が、金融系だけの印象になっているので、余計「あれ、ネットワークに興味がないのかな」っていう風に見えちゃう。ネットワーク説明会と、マネックス証券との資本業務提携の会見との両方に出ていたら理解できるんですけど、マネックスの方だけに出ちゃっているので。

法林氏:井伊さんは経営者だよね。技術者って感じはしない。そこの差はちょっとあるかな。

……続く!

次回は、ドコモのマネックス証券子会社化について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

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