取引金融機関に期待すること、「販売先・取引先の紹介」が27.5%でトップ
今後、取引金融機関にどのようなことに対応してもらいたいか尋ねたところ、「販売先・取引先の紹介」が27.5%でトップとなった。
次いで、「運転資金の融資」(25.9%)、「設備投資資金の融資」(20.8%)が2割を超えた。
一方、「既存融資(コロナ関連融資を含む)の借り換えや一本化」や「既存融資(コロナ関連融資を含む)の条件緩和」はともに1割台だった。
■企業の声
「自社ビジネス拡大のM&A支援(多角化・現在の事業問わず)や、融資でお客さまが建物を建てるハードルを下げてほしい」(木造建築工事)
「海外取引について、海外に口座が持てないが、取引できるような態勢・対策があるとありがたい」(衣服・身の回り品卸売)
「後継者は確定しているが、譲渡の時に適切な対応と支援をお願いしたい」(中古自動車小売)
収益改善に向けた前向きな支援に期待
2023年8月の国内景気は、ガソリンを含むエネルギー価格の上昇や台風上陸による人流・物流の停滞などもあり、小幅な悪化となった。
台風上陸で鉄道や航空便の運休、高速道路の通行止めなど、交通インフラが被害を受け、人流や物流がストップ。旅行・観光業への影響は大きく、宿泊業や飲食、娯楽サービスなどを含む観光DIが悪化する要因となった。
3年以上にわたる新型コロナ禍を経験し、企業がポストコロナ時代へと徐々に舵を切っているなかで、新型コロナ関連融資の返済も着実に進展している。
また、現在借入のある企業の12.2%が今後の返済に「不安」を感じている一方、事業環境の改善により今年2月時点まで不安感が最も高かった「旅館・ホテル」も改善するなど、その内容は少しずつ良化していると見ることができよう。
しかし、販売価格の高騰に直面する「飲食料品小売」で不安感の高まりがみられるなど、コロナ禍による苦境を乗り越えながら事業をたたむ企業も増えている。
こうしたなかで、取引金融機関には販売先や取引先の紹介など、収益改善に向けた前向きな支援を期待する声も多い。
物価高やコスト増、さらに海外経済の下方リスクに直面する企業に対して、ニーズに応じた伴走支援を実行していくことの重要性が一段と増しているといえるだろう。
※調査期間は2023年8月18日~31日、調査対象は全国2万7,667社で、有効回答企業数は1万1,517社(回答率41.8%)。なお、新型コロナ関連融資に関する調査は、2022年2月、8月、2023年2月に続いて4回目
構成/ob1