融資の返済開始時期、8割超の企業がすでに返済を開始
新型コロナ関連融資を「現在借りている」企業に返済開始時期について尋ねたところ、80.9%が『すでに返済開始』※4していた。
また、新たに返済開始を迎える企業では「2023年12月末までに返済が始まる」が7.5%、「2024年1月以降に返済が始まる」が9.4%となった。
※4『すでに返済開始』は、「条件通り返済している」「返済額の減額など条件緩和を受けながら返済している」「返済が滞っている(返済猶予を含む)」「信用保証協会が代位弁済した(一部自力返済を含む)」の合計。
借入企業の12.2%が今後「返済に不安」、飲食料品小売や教育サービスで高水準に
新型コロナ関連融資を「現在借りている」企業に対して今後の返済見通しを尋ねたところ、85.7%は「条件通り、全額返済できる」と考えていた。
一方『返済に不安』を抱いている企業は12.2%と1割を超えている。その内訳をみると、「返済が遅れる恐れがある」(4.8%)や「金利減免や返済額の減額・猶予など条件緩和を受けないと返済は難しい」(5.6%)、「返済のめどが立たないが、事業は継続できる」(1.0%)、「返済のめどが立たず、事業を継続できなくなる恐れがある」(0.8%)となっている。
返済に不安を感じている企業は2022年8月時点以降、横ばいが続いている。
業種別にみると、新型コロナ関連融資の返済に不安感を抱く企業の割合が最も高い業種は、仕入価格の上昇に直面する「飲食料品小売」(35.1%)で、2022年8月時点(24.1%)、2023年2月時点(29.8%)と時間を経るにしたがい高まっている。
さらに、「教育サービス」(2022年8月時点15.4%→2023年2月時点21.4%→2023年8月時点34.8%)も上昇傾向で推移している。
また、総合スーパーなどを含む「各種商品小売」(2022年8月時点5.9%→2023年2月時点14.3%→2023年8月時点20.8%)もじわじわ不安感が高まってきている。
「飲食店」(2022年8月時点34.7%→2023年2月時点31.7%→2023年8月時点32.4%)は3割前後での推移が続いた。
一方で、新型コロナによる影響を大きく受けた「旅館・ホテル」は25.0%と、2022年8月時点(39.7%)、2023年2月時点(39.3%)より10ポイント以上低下していた。
■企業の声
「一括返済が可能だが、実質無利息のため、このまま通常返済を行う予定」(不動産代理・仲介)
「融資条件通りの返済は可能と考えるが、金利は減額ではなく免除を検討いただきたい。立て直しにお借りしたが、元金を返す分で経営余剰分は相殺され、金利返済を継続するのは難しい。この融資分の元金返済分もコスト計上できるのが一番良いと考えており、再考願いたい」(窯業・土石製品製造)
「返済はしていく予定だが、給料を減額するなどしなければ経営は厳しい」(製版業)
「今後の社会状況、世界情勢により、現在は返済可能でも今後については更なる条件変更もあり得る」(金属プレス製品製造)
「条件通り返済予定だが、計画外のコロナ融資のため最悪を考え、返済が始まりキャッシュバランスが悪化するかもしれないので、早めに全体の借入見直しを銀行と進めている」(自動車〔新車〕小売)
「3年後に繰り上げ返済をしたい」(野菜小売)
「5類になったが、施設内でクラスターは発生しており、それにともない減収となっている。収益が安定しないので、不安要素が多い」(無床診療所)