飼い主がなかなか自分ではこなせないが、現実的にやがて直面しがちな問題にも対処してくれる「飼いサポ」
松本 日本においてのペットの平均寿命は年々伸びており、それはとても嬉しいことではあるのですが、お話にもありましたように飼い主さんも高齢になり、施設に入ることを余儀なくされて離れ離れになったり。あるいは先に亡くなってしまい、ペットの処遇について遺族も困惑するといった事態も珍しくありません。
全国各地の動物愛護団体も出来る限りの対処しているところですが、「飼い主サポート新潟」さまの場合は法律家はじめ、複数の専門職との連携で飼い主さんとペットのサポートをワンストップ対応、遺言・信託、寄付・寄贈を3本柱として提示なさっています。
この3つの柱それぞれの特徴を、簡単にご説明いただいてもよろしいでしょうか?
三浦さん (ワンストップ対応について)ペットに関すること全般で、ペットシッターやお悩みも受け付けています。例えば、災害に不安を覚える飼い主さんにはペット防災の講習会を紹介するとか、ペットの医療についてお悩みを伺うとか。
真夏に「エアコンを入れ忘れたかも!?」と連絡があり、ペットが大丈夫か見に行ったこともあります。
また、ペットに関係がない事でも飼い主さんにトラブルがあれば対応していますし(親族とのもめ事、親から相続した負の遺産の処分についてなど)。これからは「飼いサポ」のメンバーが任意後見人や遺言執行人になるケースも出てくると思います。
(遺言・信託について)必要な方には、遺言・信託の手続きもします。
飼っているペットの種類、頭数、託したい相手とその内容など、飼い主さんとペットはすべてが違うので、遺言書も当然オーダーメードになります。
特に託したい内容は、それぞれに強い要望がありますから、法律家+動物の専門家がタッグを組んで、ていねいに納得がいくまでヒアリングを重ねます。
(寄付・寄贈について)お世話になった愛護団体に寄付したい、野生動物のために使ってほしいなど色々な希望があります。「飼いサポ」はその受け皿となり、希望先に分配します。
遺言となるとどうしても「まだ今は元気だから」と思いがちだけど、元気なうちに依頼することが大切…
松本 先ほどお聞きした3本柱のサポート体制が確立されるまでの苦労話などがございましたら、お聞かせいただきたいのですが……。
三浦さん 一番の苦労は、「元気なうちに万が一に備える意識がない人が多く、どう啓発したらよいか」という部分でしょうか。
例えば、飼い主さんの病気が進行しているのに、私たちへの依頼を躊躇したことで対応が遅れ、手続き前に孤独死されて数日後に発見された事があります。たまたま「おかしい」と気付いた人がいて、ペットも通報から駆けつけた警察に保護をされましたが、数日遅かったらどうなっていたか?
飼い主さんも、色々な理由で躊躇されます。
既に弁護士や金融機関に頼んで遺言書があるということもあります。ただし、法律や金融のスペシャリストであってもペットの扱いや飼い主さんがどれだけの愛情を注いでいるかを理解できない人も多く、過去に見せていただいた遺言書等に飼い主さんの希望やペットの行く末が反映されていないケースもありました。
遺言書を書くほどではない、その費用が高いだろうと思っていたり、何とかなる、誰かが何とかしてくれると思っている、なども普及しない要因でしょう。