「ASEANの雄」の通貨への対応は?
『Pocket Change』の対応通貨は日本円・米ドル・ユーロ・中国人民元・韓国ウォン、台湾ドル・シンガポールドル・香港ドル・タイバーツ・ベトナムドンである。その中で硬貨の両替に対応しているのは米ドル・ユーロ・中国人民元・韓国ウォン。
ベトナムドン紙幣の両替もできるというのは驚きだが、しかし同時に疑問もある。東南アジア諸国の他の通貨、マレーシアリンギットやインドネシアルピアには対応していないようだが、これに対応する予定はあるのだろうか?
というのも、マレーシアとインドネシアは「ASEANの雄」とも表現できる国である。この2国からの訪日観光客も増えている。そして筆者自身の話で恐縮だが、手元に大量のインドネシアルピアが余っている!
「リンギットとルピアに対応する予定はあるのか?」ということを、株式会社ポケットチェンジに直接問い合わせてみた。回答は以下の通り。
現在対応している通貨については、創業時に、羽田空港や成田空港(ひいては、アウトバウンドの日本の方)での流通量の多いと思われる通貨をピックアップして決定しております。
本来は我々ももっと対応通貨を増やしたいところではあるものの、機器側での設定に制限があるため、何かを入れれば何かを捨てる、といったことが発生してしまいます。
このため、対応通貨の中で改刷があり、新旧を交換するなど以外では、積極的に変更してきませんでした。
しかし立ち戻ると、先述のように、元々は我々が「多いだろう」と判断した国を選んでおりますので、既存のドルやユーロと言ったメジャー通貨(主に、硬貨の方も対応している通貨)以外については、おっしゃっていただいたような観点で、入れ替えを検討・発生する可能性はあります。ただし、現時点ではその計画はしておりません。
このあたりについては、この先「アウトバウンドの需要がアフターコロナでどのように変化していくか?」の様子を見ながらになりますので、少し長期的なスパンでの話になると思います。
キャッシュレス決済分野の一角を担うサービス
世界各国の貨幣を、自国のキャッシュレス決済サービスの残高にする。これ自体に極めて大きな意義があり、できることならもっと設置台数を増やしてほしい! と筆者は熱望している。
この『Pocket Change』がゲームセンターに置かれている場面があることには、大いに驚かされてしまった。ゲームセンターも交通系ICカードでプレイできる時代だから、外国人観光客にとっては「手軽に日本のゲーセンで遊べる」ということになるはず。
とにかく、様々なシチュエーションに思いを巡らすことができるのだ。こういう時にああいう場所で『Pocket Change』を利用できたらどんなに便利だろう、という具合に。
となると、『Pocket Change』自体がある種の社会インフラのようになっていくのではないかとも予測できる。
スタートアップの展開するサービスが我々の生活に欠かせないものになっていく……という流れは珍しいことではない。キャッシュレス決済分野は毎日のようにどこかの企業が何かしらのアクションを起こしている成長分野であるが、『Pocket Change』はその一角で重要な役割を担うサービスとして鎮座するだろう。
【参考】
【羽田空港に追加設置】余った外貨を電子マネーやギフト券に交換できる「Pocket Change」が新たに東京モノレール羽田空港第3ターミナル駅でサービス提供を開始!-PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000153.000019691.html
取材・文/澤田真一