日常的に使われることも多い「自己肯定感」という言葉。元々は心理学用語として使われていた言葉だが、近年では、自己肯定感を高めることの重要性が一般的に認知されつつある。
そこで本記事では、「自己肯定感」とはそもそも何か、言葉の使い方、自己肯定感を高める方法について解説する。最後に紹介する英語表現も、英語を使う機会の多い人はぜひチェックしてほしい。
「自己肯定感」とは?
まずは、自己肯定感とは具体的にどのようなことを指す言葉なのか、言葉の使い方について見ていこう。
意味は「ありのままの自分を肯定し、好意的に受け容れる感覚」
「自己肯定感」の読み方は「じここうていかん」。「ありのままの自分を肯定し、好意的に受け容れる感覚」という意味を持つ言葉だ。
自分と他者と比較せず、今の自分を認めて尊重する考え方は、仕事や人間関係、日常生活に好影響を与えて、その人の人生の幸福度を高めると考えられている。さらに、自己肯定感は物事を前向きに取り組もうとする原動力にも直結する。このことから、近年では自己肯定感を高め、「自分軸」を持って生きることを重視する価値観が広まりつつある。
使用シーンと例文
「自己肯定感」は、ビジネスシーンにおいて自分や他者の社会的スキルを肯定的に捉える際にも使える言葉だ。以下の例文を参考にしながら、ぜひ使い方をマスターしよう。
【例文】
「彼は会社内でも自己肯定感が高い方だと思う」
「自己肯定感を高めることは、今後の人生を豊かにするだろう」
「自己肯定感が低いことを気にしているが、こんな自分の一面も素直に受け容れていこう」
語源はアメリカの心理学用語
自己肯定感は、アメリカの心理学用語「Self-esteem(セルフ・エスティーム)」を和訳したもの。1994年(平成6年)に臨床心理学者である高垣忠一郎により提唱され、「自分自身を価値のある存在として評価し尊重する感情」として用いられるようになった。
徐々に言葉の意味や考え方に興味と関心を寄せる人が増えていき、さまざまな学校や企業などで人権教育の一環として実践されている。また、日本語では「自己肯定感」の他に「自尊感情」と表記する場合もある。
自己肯定感を高めるには?
次に、自己肯定感を高めるために取り入れたい習慣を見ていこう。自分自身と向き合えるような考え方はいくつかあるが、本記事ではそのうち3つを取り上げる。
今の気持ちを紙に書き出す
頭に浮かぶさまざまな感情を紙に書き出す習慣は「ジャーナリング(Journaling)」と呼ばれる。今の気持ちを可視化することにより、物事を客観的に捉えられるようになるほか、集中力や物事に対する意欲を高められる効果も期待できる習慣だ。必要な道具は紙と筆記用具のみ。自己肯定感を高めたい人は、ぜひジャーナリングを取り入れてみよう。
短所をリフレーミングする
「リフレーミング(Reframing)」は、「物事の捉え方を変えて、別の視点から前向きに解釈できる状態に変えていく」という意味を持つ言葉。コミュニケーション心理学(NLP)の用語の一つで、1970年頃にリチャード・バンドラーとジョン・グリンダーが共同で行った「3人の天才セラピストの分析」によって広まった概念だ。自分自身の先入観や思い込みを見直し、対人関係や社会活動などの問題を解決に導く効果がある。
日々の暮らしの中でポジティブな言動を取り入れる
普段から意識的にポジティブな言動を取り入れていれば、脳が自然とプラスの物事を記憶するようになる。自分自身が持つ能力に関わらず、気持ちがくじけそうになった時などに「自分は努力している」と認めてあげることが大切だ。ただし、言葉の使い方によっては気持ちが空回りしてしまう場合もあるため、自身が心地よいと思える範囲で行おう。
自己肯定感の英語表現
最後に、自己肯定感と似た意味を持つ英語表現を紹介する。
self-efficacy
“self-efficacy”は、「ある物事や課題を達成するために、自分自身で適切な行動を判断し、遂行できると肯定する力」を意味する名詞だ。漢字表記では「自己効力感」と表すほか、「自己可能感」と和訳される場合もある。
【例文】
“I put my hand on my chest and repeat my heart’s voice to increase my self-efficacy.”
(私は自己効力感を高めるために、自分の胸に手を当てて心の声を反復させている)
pride
“pride”は、「自尊心」や「自己肯定感」といった意味が含まれる名詞。ただし、使用シーンによってはややネガティブなニュアンスとして伝わることもあるため、使い方には注意が必要だ。
【例文】
“He is not only proud but also well-liked by those around him.”
(彼は自尊心が高いだけではなく、周囲からの人望も厚い)
※データは2023年10月下旬時点のもの。
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文/編集部