日本企業のイスラエル進出は92社、テルアビブ地区に集中
イスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃で中東を中心に緊張が高まっている。そんな中、帝国データバンクは、保有する企業データベースに加え、各社の開示情報等をもとに、工場や事業所・駐在員事務所、サービス・保守拠点などの設備・施設、直接出資などでイスラエル国(「イスラエル」)に関連会社などを有する企業について調査を行なった。
ガザ周辺の進出は確認できず
イスラエル国に進出している日本企業は、2023年9月時点で92社判明した。このうち、具体的な進出先が判明した72社の進出地域をみると、事実上の首都・テルアビブ市を中心とした「テルアビブ地区」が39社で最も多く、ペタフ・チクヴァなど「中央地区」(15社)をはじめ地中海沿岸部の進出が目立った。
また、特に被害が大きいガザ地区近隣への進出事例は確認されなかったが、「南部地区」の進出は一部でみられた。
日本・イスラエル間では、投資協定や経済連携協定の締結など経済面での距離が近年縮まっていることも背景に、大手企業が中心となってイスラエル進出が活発化している。
なお、中小企業におけるイスラエルへの進出は比較的少数にとどまった。
イスラエルへの進出形態では、判明する企業70社のうち、現地での販売拠点や研究施設を含めた「サービス・開発拠点」が49社・7割を占め、特にR&D施設の進出が目立った。
一方、生産拠点となる「製造・流通拠点」は12社と少数にとどまった。同じ中近東エリアで、日本企業の進出が多いトルコ共和国と比較すると、現地生産拠点や中近東向けの輸出入などビジネス統括拠点としての進出が多いトルコに対し、イスラエルへ進出している企業では研究・開発拠点として展開するケースが多くみられた。
また、先端技術などを多く有するイスラエル国内のスタートアップ企業やハイテク企業と提携するための拠点として進出する企業も多くみられた。