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富士通と理化学研究所が超伝導量子コンピュータを開発、量子シミュレータと連携可能なプラットフォームを提供

2023.10.30

連携センターで開発した64量子ビット超伝導量子コンピュータについて

連携センターで開発した超伝導量子コンピュータ

本超伝導量子コンピュータは、理研が、文部科学省光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)「超伝導量子コンピュータの研究開発(研究代表者:中村泰信)Grant No.JPMXS0118068682」の助成を受けて、2023年3月に公開した国産初号機となる64量子ビット超伝導量子コンピュータをベースに、日本電信電話(以下NTT)の協力も得て、連携センターで開発された。

量子コンピュータの演算機能の中心を担う64量子ビット集積回路チップには、理研の量子コンピュータと同様の垂直配線パッケージを採用しており、将来的な規模の拡大に適用可能な拡張性を備えている。

また、NTTの構築した量子ビット制御ソフトウェアを用いて量子ビットの高精度な制御を実現。本超伝導量子コンピュータにより、理想的には最大で2の64乗個の状態の重ね合わせ計算が可能になり、従来のコンピュータでは困難な問題の求解が期待できる。

ハイブリッド量子アルゴリズムの研究開発の取り組み

富士通と理研は、量子コンピュータとHPCを連携させて問題を解く、ハイブリッド量子アルゴリズムの開発にも取り組んでおり、今回、量子コンピュータ向けアルゴリズムの計算の一部を量子シミュレータが担うハイブリッド量子アルゴリズムを開発した。

具体的には、大きな分子を複数の小さなフラグメントに分割する量子化学計算手法Density Matrix Embedding Theory(DMET)と量子アルゴリズムを利用して、大規模な分子を高精度に計算するというもの。

分割計算した個々のフラグメントの結果を結合する量子計算においては、計算量が小さい特長に着目し、結合計算に部分的に量子シミュレータを用いることで、ノイズ影響の大幅な軽減が求められる中でも計算時間の増大を抑えつつ高い精度を得られるようになる。

本アルゴリズムをH12(水素原子12個からなる水素鎖)の基底エネルギー計算に適用し、量子コンピュータのノイズ影響を軽減するAIによる量子計算補正技術と組み合わせることで、既存の古典アルゴリズム(CCSD(T))(注5)を上回る精度でエネルギー計算が実行できることを世界で初めて確認したという。
(注5)CCSD(T):Coupled Cluster Single, Double, (and Triple)の略。量子化学計算において高精度計算として知られている計算手法

本技術を、今後ハイブリッド量子コンピューティングプラットフォーム上で提供していくほか、富士通では本技術のノウハウを応用し、様々なコンピューティングリソースおよび種々のアルゴリズムを自動で組み合わせて最適計算を可能にするソフトウェア構想「Computing Workload Broker」の確立を目指す。

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