今後は1000量子ビット級の超伝導量子コンピュータを実現する技術開発を推進
富士通と国立研究開発法人理化学研究所(以下理研)は、2021年に共同で設立した「理研RQC-富士通連携センター」(以下連携センター)において、理研が2023年3月に公開した国産初号機となる64量子ビット超伝導量子コンピュータの開発ノウハウをベースに新たな64量子ビットの超伝導量子コンピュータを開発した。
富士通は理研の支援を得て、本超伝導量子コンピュータと世界最大級(注3)の40量子ビットの量子コンピュータシミュレータ(以下量子シミュレータ)を連携させて利用できるハイブリット量子コンピューティングプラットフォーム「Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platform」(以下本プラットフォーム)を開発。富士通と理研との共同研究の下で、企業や研究機関に提供を開始した。
(注3)世界最大級:汎用的な量子回路シミュレーション方式であるState Vector方式の常設専用機としては世界最大級 (2023年9月現在、富士通調べ)
本プラットフォームにより、利用者は、ノイズによるエラーを含む量子コンピュータを用いた計算結果とノイズを含まないシミュレーションによる計算結果の比較などが容易に可能になり、量子アプリケーションにおけるエラー緩和アルゴリズムの性能評価などの研究の加速が期待できる。
さらに、富士通と理研は、超伝導量子コンピュータとハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)を連携したハイブリッド量子アルゴリズムの開発を進めており、今回、量子コンピュータとHPC上で動作する量子シミュレータの連携により、従来のアルゴリズムを上回る精度で量子化学計算を可能にするハイブリッド量子アルゴリズムの開発に成功した。
その成果についても、本プラットフォームとの連携を図っていく。
両者は今後、1000量子ビット級の超伝導量子コンピュータを実現する高密度実装などの技術開発を推進するとともに、より高精度な量子ゲートを実現する技術開発にも取り組んでいくという。
また、富士通は、量子コンピュータおよび量子シミュレータの計算リソースを、本プラットフォームを介して金融や創薬をはじめとする様々な分野の共同研究を行う企業などに提供。量子アプリケーションの研究開発を進め、ハードとソフトの両面から量子コンピュータの実用化を加速していくとアナウンスしている。