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1980年代に発生した、当時の世界経済に大きな影響を与えた株価の大暴落「ブラックマンデー」。歴史的な出来事ではあるが、世界恐慌の原因にもなった「暗黒の木曜日」の株価暴落と混同する人も少なくない。
そこで本記事では、ブラックマンデーが発生した原因や当時の経済状況、世界に与えた影響を紹介する。歴史的な株の大暴落が起こった背景や、ブラックマンデーが世界恐慌に発展しなかった理由について、この機会に理解を深めていこう。
ブラックマンデーとは
ブラックマンデーは、1987年10月19日にニューヨーク株式市場で起きた史上最大規模の株価大暴落のことを指す。香港市場の株価暴落に端を発し、ヨーロッパからアメリカにその影響は拡大していった。暴落が発生したとされる日時が月曜日であったことから、1929年に発生した大暴落、暗黒の木曜日(ブラックサーズデー)になぞらえてブラックマンデーと呼ばれている。
ブラックマンデーにおけるNYダウの下落率は22.6%。これは世界恐慌の原因となった暗黒の木曜日で記録された12.8%を大きく上回る数字だった。大暴落は世界経済に大きな影響を与えたものの、各国間の協力の結果、世界恐慌のような悲劇的な結果には至らなかった。
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ブラックマンデーの原因や影響は?
経済に大きな影響を与え、世界規模の大事件となったブラックマンデー。ここからは、ブラックマンデーの発生原因や世界に与えた影響をより詳細に見ていこう。
ブラックマンデー以前の経済状況
1980年代のアメリカには、「双子の赤字」と呼ばれる財政赤字と貿易赤字が存在した。当時の大統領であったレーガンは、レーガノミクスと呼ばれる大幅減税や規制撤廃を主とした経済政策を実施。しかし、軍事費を中心に赤字は拡大を続け、双子の赤字を解消することはできず、経済状況は悪化していくこととなる。
ブラックマンデーの原因
ブラックマンデーの株価暴落が起こった原因については、専門家の間でも意見が分かれている。一つの出来事が原因となったわけではなく、多数の要因が重なって発生したという点は多くの見解に共通するところだ。
要因として挙げられるのは先述した双子の赤字、西ドイツの利上げ、ルーブル合意でのドル安の是正失敗、自動売買システムが投資家の間で普及していたことなどがある。これらの要因が投資家の不安を煽り、株の売却が促進される結果につながったと見られている。
ブラックマンデーが経済に与えた影響
ブラックマンデーが発生した翌日には、アジアや欧州各国の株式市場にも影響が及んだ。日本国内ではこの日の平均株価の下落率が戦後最大の14.9%となった。
また、ブラックマンデーによる大暴落は、ニューヨーク証券取引所で「サーキットブレーカー制度」が導入されるきっかけにもなった。この制度は、大きな相場変動が発生した際に取引を一時中断し、市場の混乱を防ぐものだ。
ブラックマンデーの下部か大暴落は各国の経済対策への意識を向上させた出来事ともいえるだろう。
ウォール街大暴落との相違点
ブラックマンデーと類似した大暴落として語られることが多いのが、ウォール街大暴落(暗黒の木曜日、ブラックサーズデー)だ。両者の相違点として注目すべきは各国が協調姿勢を見せ、迅速な経済対策を行ったことだろう。
ウォール街大暴落において、アメリカ大統領のフーヴァーは経済の自然回復を見込んで特別な対策を行わない姿勢を取ったが、その結果、世界恐慌という悲劇を呼ぶことになった。一方で、ブラックマンデーにおいてはアメリカを含む各国の経済対策が功を奏し、暴落による経済状況の悪化を未然に防ぐことに成功した。
その他の歴史的な株価暴落
最後に、ブラックマンデーに関連する歴史的な株価暴落について解説する。その他の大暴落の事例と比較することで、各事例の特徴がより鮮明になるはずだ。
ウォール街大暴落
ウォール街大暴落は、1929年10月24日の暗黒の木曜日に端を発したとされる大暴落。1920年代のアメリカは「狂騒の20年代」「永遠の繁栄」と呼ばれるほどの経済的・文化的な発展を遂げていたが、ウォール街大暴落によってアメリカ経済は下降の一途を辿ることになる。暴落はアメリカ経済だけでなく世界経済にも影響を与え、その後の世界恐慌にもつながった。
リーマン・ショック
リーマン・ショックは、2008年9月にアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの倒産を契機に発生した世界的な大不況。低所得者層を対象にした住宅ローン、サブプライムローンの破綻が倒産の原因となった。リーマン・ブラザーズは世界的に影響力のある投資銀行であったため、各国市場の株価は連鎖的に下落し、アメリカ国内にとどまらない全世界的な大暴落を引き起こした。
※データは2023年10月下旬時点のもの。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部