流通業界における情報価値の向上
今回調査では、上位企業の多くに「情報価値」の向上が見られ、特にイオンやセブン‐イレブンなど、スーパー、コンビニといった流通業界が躍進した。
流通業界においてデジタルメディアの利便性は、購買における顧客体験そのものとなりつつある。すでに「買い物」は必ずしも店舗・店員・現金を介するものではなく、EC、セルフレジ、キャッシュレス決済が広く受け入れられるようになり、「買い物」を取り巻くライフスタイルが急速に変化している。
商品を選ぶ基準や、決済、商品の受け取り方法など、消費者のニーズの多様化が見られる。
イオンでは自宅での受け取りが難しい顧客に配慮し、ネットで購入、実店舗で商品をピックアップができるようにするなど、多様なニーズにきめ細かく対応している。
また、流通業界全体で、サイトやアプリを通して取得したユーザーデータの活用も進んでおり、その土台となる顧客IDの統合やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)構築の動きも見られる。こうした動きが、顧客ごとのクーポンの出し分けや、データを活用したより受容性が高い商品開発といった、顧客にとってベネフィットが高いサービスにつながっている。
「利便性」をフックに、いまや消費者にとって「買い物」と「デジタルメディア」は切り離せないものとなっている。流通業界の情報価値が高い背景には、買い物にさらなる利便性を求める消費者の存在と、デジタルを通じてその期待に最大限応えようとする企業の努力がある。
コロナ禍で急速に進んだデジタル化。その波は日常が戻りつつある今も消費者の利便性を支えるという観点で止まることはないだろう。企業の視点から見ると今後は、「まずはネットで」といった消費者行動に応える「ファーストタッチメディアとしてのデジタル活用」と、よりスムーズに「自分に合った情報を得たい」という要望に応える「CX(顧客体験)の統合」が、顧客体験価値の最大化に向け重要なキーワードになるものと考えられる。
上位20位のランキングは以下の通り。運輸・レジャー、流通、自動車、電子・電機などの企業・ブランドが並んだ。
<調査概要>
調査期間:2023年6月1日~6月15日
調査対象者:全国20~69歳の一般消費者
調査対象業界:
電子・電機/情報・通信/自動車/住宅関連/化粧品・トイレタリー/OTC医薬品・健康機器/趣味・娯楽・その他/食品・飲料/運輸・レジャー/流通/金融/エネルギー・素材
出典元:トライベック株式会社
構成/こじへい