投資には株式や積み立てといった既存の方法にとらわれない発想でできるものがある。自分の趣味やリスクの取り方にもよるが、チャレンジしてみる価値のある投資法を紹介しよう。
【新しい投資1】スタートアップ投資
CFスタートアップス
代表取締役
出繩良人さん
公認会計士。1997年スタートアップの株式公募専門のディー・ブレイン証券を設立。2015年改正法による株式型クラファン制度化を機にCFスタートアップスを設立する。
非上場企業に個人投資家が 投資できる唯一の方法
日本国内には大小合わせて約180万社の会社がある。このうち証券取引所に上場している会社は約4000社なので、0.5%にも満たない会社にしか普段は投資できない。しかし、非上場の会社や生まれて間もない会社にも社会の課題を解決する、価値ある会社は多く存在する。これらの会社へ投資するとやがて大きく成長し、上場して株価が何倍にも膨れ上がる可能性を秘めている。そんなベンチャー企業に投資をするのがいわゆるスタートアップ投資だ。
これまでは数千万円、数億円単位での資産がある会社や投資家でしか投資することができなかったのだが、近年、1口数十万円単位でスタートアップ企業に投資できる仕組みが登場した。総じて「クラウドファンディング」と呼ばれる投資で、中でも未上場企業の株式への投資を募るサービスを株式募集型クラウドファンディングと呼ぶ。
停滞気味だった経済活動が、ポストコロナの世界で再び動き出し、様々なビジネスが生まれていく今こそ、スタートアップ企業への投資機会が大きく増える可能性を秘めているのだ。長年スタートアップ投資に関わってきたCFスタートアップス社の代表取締役・出繩良人さんは投資を行なう意義を次のように語る。
「スタートアップ企業が上場する可能性は低いですが、それ以上に事業の魅力に応じて『応援』の意味合いで投資する価値があります」(出繩さん)
しかし、注意点も多く、見極めが必要だと念を押す。
「事業がとん挫し、株式価値がゼロになってしまうこともあります。そもそも投資判断に必要な情報が十分に得られないこともあるので、社長や関係者へのヒアリングなどを詳しく行ないましょう。投資の仕方によっては『ファンド』という形態で、直接企業の株式がもらえない場合もあります。ファンド形態の場合には、相手方の契約内容をよく見定めなければなりません」(出繩さん)
ユニコーン時点と上場時点のリターン比較
スタートアップ企業の中でも10億米ドル(約1480億円)以上の規模を持ったものをユニコーン企業と呼び、主にテクノロジー系の企業が該当する。上場前から投資すると数倍以上のリターンが得られる。
株式型クラウドファンディングの投資状況
年間約10億円の未上場株式が株式型クラウドファンディングによって投資マネーを集める。「企業の調達ニーズは今後も増えていくと見られます」(出繩さん)
出典:日本証券業協会