調査3.「宅配ボックスあり」物件、設備条件なしの家賃相場よりも月額13,000円上昇
一都三県における「設備条件なし」と「宅配ボックスあり」の家賃相場(※1)を出したところ、「設備条件なし」は70,000円だったのに対し、「宅配ボックスあり」は83,000円となった。月額で13,000円、年間では156,000円の差となり、けして誤差ではない。一方で、今後実施される置き配のポイント還元や再配達を依頼する手間、配達時間に在宅していなければという心理的負荷を鑑みれば今後も「宅配ボックスあり」物件の人気は続くと思われる。
※1:調査概要
・対象エリア:一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
・対象物件:LIFULL HOME’Sに掲載された築40年以内、駅徒歩20分以内、15平米以上40平米未満の居住用賃貸物件
・対象期間: 2022年10月~2023年9月
・家賃相場:月額賃料の中央値
LIFULL HOME’S総研チーフアナリスト・中山登志朗氏の考察
2000年以降分譲マンションに設置され始め、その利便性が注目されて短期間で“あって当たり前の設備”となった宅配ボックスですが、賃貸マンション・アパートには設置コストも相応にかかるため、新築時に設置するケースは増加しても賃貸物件全体にはなかなか普及が進みませんでした。
それがコロナ禍によって買物や飲食のための外出を控えるようになって以降、ネット通販や食品&日用品の宅配が爆発的に増加し、連動して宅配ボックスの設置も急速に進みました。しかし、宅配ボックス販売シェア大手のアンケート調査(※2)によれば、2022年末時点で宅配ボックスが設置されている物件に居住しているとの回答は39.2%、住居形態別では戸建て26.6%、マンション62.2%、アパート30.8%となり、依然として戸建てやアパートなどの宅配ボックス設置率は過半数を超えていません。
今回LIFULL HOME’Sでは、宅配ボックスが設置されている賃貸マンション・アパートがどれくらい掲載されているのか、そのシェアの変化を初めて調査したところ、時流を反映して直近41.1%まで拡大していることが明らかになりました。これはコロナ禍で進んだ宅配を前提とした生活様式の変化、さらにコロナ後の出社勤務の増加によって荷物が受け取りにくくなったユーザーが増えたことで、宅配ボックスへのニーズが切実なものになっていることの表れと見ることができます。
さらに、物流2024年問題への緊急対策として置き配ポイントが付与されることになり、これを契機として宅配ボックスの経済効果が高まることが見込まれるため、今後は分譲/賃貸、戸建て/マンション・アパートの別なく、安全に荷物を受け取ることができる宅配ボックスへのニーズがさらに高まることが確実視されています。
※2:「置き配に関する実態調査2022年11月第5回調査」(「ナスタ」調べ)
出典元:LIFULL HOME’S
構成/こじへい