3. 破産債権の回収率は?
破産手続きにおいては、破産者に債権全額を支払うだけの財産がなく、破産債権については回収不能となってしまうケースが非常に多いです。
令和4年度の司法統計によると、破産既済事件数6万9,364件のうち、債権配当が全く行われずに廃止となったものが6万1,946件(89.3%)を占めています。
出典:令和4年度司法統計 1 民事・行政編 第107表 破産既済事件数―終局区分及び審理期間別―全地方裁判所|最高裁判所事務総局
配当が行われなかった債権については、破産手続終了後に原則として免責されてしまいます。破産による回収不能を防ぐには、取引を行う前の段階で、債務者が信用に足るかどうかを慎重にチェックするほかありません。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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