確定申告を避けるためにふるさと納税先を5自治体以内に抑えていないだろうか? ふるさと納税だけのための確定申告ならe-Taxで簡単に還付を受けられる。
ふるさと納税を5か所以内に抑える理由
ふるさと納税とは、納税サイト等を通して市区町村などの自治体に寄附することだ。そして、自治体から寄附金額の30%程度の特産品などの返礼品を受け取ることができる。自分の収入に応じた上限額までの寄附金額なら、寄附金額のうち2,000円を超える分は所得税の還付かつ翌年支払う住民税が控除されることで実質2,000円の自己負担で寄附できる制度だ。
返礼品を受け取る目的だけでなく、災害等が起きた地方自治体への寄附、故郷が実施している地域活性や子育て支援等への応援をすることもできる。
会社員は一般的に確定申告をしていない人が多い。大半の会社員は所得から控除できる保険料控除や扶養控除等を会社で申請し、年末調整することで申告不要で受けることができる。年末調整で申告不要の会社員が、わざわざ確定申告するのは面倒という理由で、ワンストップ特例を利用している人が多い。
ワンストップ特例は、ふるさと納税を5自治体までの寄付なら確定申告しなくてもふるさと納税による控除を受けられる制度である。ワンストップ特例は基本的にふるさと納税後、自治体から送付される書類に記入して返送することで、申告不要で控除を受けられる。この返送をいわゆるワンストップ申請というが、いちいち返送するのが煩雑と考える場合、以下のようにオンラインワンストップ申請もある。
<オンラインワンストップ申請の方法>
(1)マイナンバーカードを用意し、マイナポータルアプリをダウンロードしておく。
(2)自治体のマイページまたはふるさと納税サイトでオンラインワンストップ申請をスマホでタップ
(3)ワンストップ申請をする自治体を選択肢、スマホでマイナンバーカードの暗証番号を入力し、カードを読み取る
(4)住所等を確認、注意事項等を確認チェック
(5)マイナンバーカードの署名用電子証明書のパスワードを入力してカードを読み取る
ワンストップ申請がオンラインでできるようになり、いちいち書類を返送しなくて済むようになった。
ワンストップ特例は年末調整している会社員で確定申告不要である人が確定申告をしなくて済む便利な特例だ。一方、ワンストップ特例を受けるには、条件として寄付先が年間通して5自治体でないと受けられない。そのため、寄付先を5自治体以内に抑えている人はいないだろうか。もっと色々な自治体に寄付したいのに抑えているのは本当にもったいない。ふるさと納税のための確定申告なら非常に簡単にできるので、次に紹介する。
e-TAXでふるさと納税のための確定申告は非常に簡単!
所得税の確定申告はe-Taxで簡単にできる。ふるさと納税のための申告なら、ふるさと納税した日付や金額などの必要な情報のみ入力すれば計算や知識は全く不要だ。
確定申告は基本的に申告したい年の翌年2月16日~3月15日までだが、会社員でふるさと納税のためだけに確定申告し税金の還付を受けるだけなら、正月休み明けの1月初め頃にふるさと納税した年の『確定申告書等作成コーナー』がe-TAXのホームページにアップされれば確定申告できるようになる。申告してから、2~3週間程度で所得税がふるさと納税額の一部が還付され、残りはその年の6月以降ふるさと納税分の住民税控除が反映される。なお、e-Taxでの申告にはマイナンバーカードがあると便利。ない場合、最寄りの税務署でID・パスワードを発行してもらうか、書面での申告書が必要となる。
<ふるさと納税のためにe-Taxでの確定申告>
【準備】
・マイナポータルアプリをスマホにダウンロードしてインストールしておく。
・会社から年末に受け取った年末調整済の源泉徴収票を用意しておく。
・ふるさと納税した自治体、日付、金額が分かるものを用意しておく
(1)スマホで申告したい年の確定申告書作成コーナーにアクセスして、作成開始をタップ
(2)所得税を選択し、申告したい年を選択
(3)マイナンバーカード方式を選択、マイナポータル連携するか選択する
※マイナポータル連携は、ふるさと納税サイトの記録を申告書に自動入力することができる(後述)。連携しない場合には連携しないを選択すればよい。
(5)給与を選択肢、寄附金控除を選択
(6)源泉徴収票をカメラで読み取る
(7)ふるさと納税した日付、自治体、金額を入力
※自治体名は選択するだけで入力の必要なし
(8)所得税の還付金額を確認して、振込先口座を登録
※マイナポータルで公金受取口座を登録している場合には『登録しない』を選択すればOK
(9)マイナンバーを入力して、次で送信(申告書をPDFで保存可能)
以下国税庁作成の入力方法の動画があるので、参考にしてほしい。
(17) スマホ申告 マイナポータル連携の操作方法 – YouTube
スマホ申告(寄附金控除(ふるさと納税)の入力方法) – YouTube
さらに、申告時にふるさと納税先の選択、日付の入力すら面倒という方は、ふるさと納税サイトで納税記録をXMLファイルデータでダウンロードして確定申告書作成時にアップロードする、またはマイナポータルのもっとつながるページで『e-私書箱』をつなぎ、納税サイトの方でもe-私書箱連携ページで連携させ、さらにマイナポータルとe-Taxもつなげておく。上記(3)の申告書作成時にマイナポータルを連携することで入力を省略することができる。
<マイナポータル連携またはデータのダウンロード可能なふるさと納税サイト>
・ふるさとチョイス
・さとふる
・楽天ふるさと納税
・ふるなび
スマホがあれば、30分程度で申告でき、入力もマイナポータル連携でほとんど省略できるため、申告が面倒というだけで寄附先を5か所以内に絞っているのはもったいない。
確定申告したときの注意点
これまでワンストップ特例でふるさと納税を行ってきたという人に、確定申告することで異なる部分がある。
ワンストップ特例は控除が全て住民税から、確定申告では所得税からの還付と住民税からの控除となることだ。
ワンストップ特例の場合は、ふるさと納税した年の翌年の住民税から月々減税される。一方、確定申告した場合ではまず申告後しばらく後に所得税から還付金が銀行口座振り込みで行われ、残りはふるさと納税した年の翌年6月からの住民税から減税されることになる。
この違いで注意したいのが、所得税から控除される住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)だ。ふるさと納税すると寄付金控除で所得が減ることで年末調整時の所得より所得が減ることで払うべき所得税が減る。住宅ローン減税はその最終的な所得税から所得税を控除するため、控除すべき所得税がふるさと納税の寄付金控除で減ってしまうと控除できなくなる可能性がある。住宅ローン減税は所得税から控除しきれなない場合住民税からも控除できるが上限が確定申告時住宅ローン減税で9.75万円または前年度課税所得の5%(2022年まで13.65万円、7%)となっている。
例えば、所得税6万円、住民税15万円の場合で、住宅ローン減税可能額が16万円の場合では、所得税から6万円、住民税から9.75万円の合計15.75万円全額控除できるが、ふるさと納税で確定申告し、所得税が5万円に減ると、住宅ローン減税で控除できる金額が少なくなり控除額は14.75万円に減ってしまう。
したがって、所得税が住宅ローン減税で控除する金額のギリギリの金額の場合、住民税から全額控除されるワンストップ特例にしたり、ふるさと納税上限額をよく確認する必要がある。
(参考)
国税庁
005.pdf (nta.go.jp)
文/大堀貴子