日本の上場企業でPBR1倍を割れている企業が多く、東証は各社に改善するよう求めている。PBR1倍を割れていることは何が問題か解説する。
PBRとは?
PBRは、株価純資産倍率といい、株価が1株あたりの純資産の何倍になっているかを示す。
1倍割れは株式を投資するときに割安に株式を購入できる目安とされるが、何が問題となるのだろうか。
1株あたりの純資産は、純資産を発行済株式総数で割れば出る。
純資産は、会社が持つ建物、預金、貸付金、特許権、投資有価証券などの資産から、その会社の借入金等などの負債を引いた差額をいう。純資産には、資本金やこれまでの利益の積み上げである利益剰余金がある。
通常の会社であれば、資産から負債を引いた差額である純資産はプラスであることから、PBRが1倍を割れている場合株式を全部買ってしまい、会社の建物等の資産を売り払ってしまったほうが、大きな利益が出るということになる。
つまり、PBRが1倍を割れているということは、株価がPBR1倍を割れる水準で将来性を評価されておらず、その会社の存続で将来利益が生み出されることを市場が期待していないともいえる。
異例の東証の改善策開示請求
東京証券取引所(以下東証という)は上場する株式を取引する「場」だ。東証は、上場会社の価値向上により取引を活性化することを目指している。そのため、2022年4月形骸化していた区分を3つの新たな新市場区分へと変更し、東証一部はプライム市場へと名を変え基準も厳格化した。さらに、2023年3月には上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」等の要請を行った。具体的には、PBR1倍割れの改善だ。
上場企業に対して、フォローアップ会議を行い、経営者にPBR1倍割れをどのように改善するかの計画・開示を求めるものだ。
PBR1割れの何が問題なのか次に見ていく。