コロナ禍の巣ごもり需要を経て、コーヒーメーカーを自宅に招き入れる人が増えたといわれる。サイフォン式コーヒーメーカーは敷居が高い部類だが、今や自動化も進んでおり、取り入れやすくなっている。サイフォン式の魅力とは? より自宅で楽しむには? コーヒーの専門家に聞く。また自動サイフォン式のコーヒーメーカーについても試用感を紹介する。
サイフォン式コーヒーとは?
小学校時代の理科の実験を想起させるサイフォン式コーヒー。フラスコとロートのセットによる装置が特徴的だ。
コーヒーの抽出は、フラスコ内の水を沸騰させて生じる蒸気圧によってお湯を押し上げながら行う。ロートの中でコーヒー粉をお湯に一定時間浸漬するところがサイフォン式ならではの味わいを生み出す。
道具や準備に手間がかかることから、家庭ではドリップ式コーヒーのほうが主流だが、近年は嗜好の多様化から、あえてサイフォン式コーヒーを選ぶ流れもある。
サイフォン式コーヒーはドリップ式コーヒーと比べて、味や香りなどの風味の点からどのような魅力があるだろうか。コーヒーソムリエの柏倉元太氏に尋ねた。
「サイフォン式コーヒーは、ドリップ式コーヒーとは異なり、温度を一定に保つことが可能です。そのため、コーヒーの抽出時間を正確にコントロールすることができ、だからこそ抽出されたコーヒーはより均一で、風味が豊かなものとなります。その抽出方法はドリップ式コーヒーで見られるような味のばらつきを減少させるのに役立っています」
サイフォン式コーヒーメーカーを利用して美味しく抽出するには?
市販のサイフォン式コーヒーメーカーを用いて、より自宅で楽しむには、どんなポイントがあるだろうか。柏倉氏は4つを挙げる。
「まずは正しい豆を選ぶこと。サイフォン式は浅~中煎りの豆の風味を引き立てます。次に、適切な挽目。サイフォン式コーヒーには、中細挽きがベストです。細かすぎず、粗すぎず、均一なサイズに挽くことが大切です。そして正確な量と温度。一般的に、サイフォンポットに200mlの水に対して約10g~15gのコーヒー豆が適量です。水の温度も重要で、94℃~96℃が最適な抽出温度とされています。水が沸騰したところで火を少し調節するとちょうどいい温度になることが多いです。最後は抽出時間。コーヒー豆を投入したら、全体が混ざるように十分にかき混ぜ、45~60秒間抽出するのが理想です」