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衛星データ、アシストロボット、AI自動剪定、農業に活用できるアグリテック最前線

2023.10.26

農業(Agriculture)にテクノロジーを掛け合わせた「アグリテック」が日本でもぞくぞく生まれている。収穫作業を自動化するロボットや農薬散布のドローン、農家の知見のデータ化、センサーによる水分自動制御など多岐に渡る。

そんなアグリテックに使われている技術の中から、今回は衛星データ、アシストロボット、AI自動剪定の3つを紹介する。

「衛星データ」活用

(画像はイメージ)

福島県南相馬市が、これまで目視で行っていた転作確認作業に衛星データを活用することで、農業行政の効率化を目指すことを発表した。

この衛星データ活用を支えるのがINCLUSIVE SPACE CONSULTING株式会社というベンチャー企業だ。

同社取締役の遠藤嵩大氏は、今回の衛星データ活用について次のように解説する。

「南相馬市の農林水産部の方々から、現状の業務において課題や負担が大きい事柄をヒアリングした中で、転作(※1)確認と呼ばれる業務における負荷が特に高いことがわかりました。転作確認とは、農業者より提出される営農計画書(※2)の通り、水田において主食用米以外の作物が作付けされているかを現地で確認する業務です。私が今年の転作確認を視察しましたが、炎天下の中、対象となる農地をひたすら見て回る大変な業務と実感しました。
この業務に衛星データを活用することで負担軽減が可能ではないかとの仮説を立て、実証に取り組むことになりました」

※1 転作:それまで栽培していた作物とは違う作物を同じ農地で栽培すること。ここでは、主食用米から他の作物へと変更することを指す。

※2 営農計画書:毎年農業者が市町村や国の機関に提出する、水田のどこに何を作付けするかの予定を記した申請書のこと。

●衛星データの活用方法

「今回の実証においては、衛星データを使って申請通りに作付けされているかを判別することに挑戦しています。人工衛星は、広範囲を定期的に観測できることが大きな特長です。例えば、お米は春に田植えされて生育し、秋には黄金色に変わって収穫のときを迎えます。このような作物による季節ごとの状態・色を衛星データでモニタリングすることで、現地調査業務の削減を実現したいと考えています」

●今後の展望

「現在、実証による成果をもとに事業可能性を検討しています。事業可能性がある場合には、近隣自治体から全国へ取り組みを広げていきたいと考えています。
また、自治体における現地確認業務は転作確認だけにとどまりません。例えば、豪雨など自然災害発生後の被害状況調査など、人の目で行われている調査は数多く存在しています。今後も、市の方々と連携して対話を重ね、転作確認の効率化をはじめ、衛星データ活用による価値創出に取り組んで参ります」

現地の確認や視察に衛星データを活用することは、他の農業の負担軽減にもつながるだけでなく、他業界にも転用できる。その点に大きな期待ができそうだ。

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