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メルセデス・ベンツ「EQS 450 4MATIC SUV」が示す次世代フラッグシップSUVのカタチ

2023.10.22

 ドイツ勢のEV投入が本格的になってきた。数年前までは、航続距離と電池の性能が低かったことで、ドイツ車のEV化はある程度限られていた。ドイツのアウトバーンのように制限速度が高く、ランチを食べに100km走ることは特別ではない国民には、EVの性能や充電設備の問題は大きかった。だから本格的にEVを普及させる気持ちが、自動車メーカーにも小さかった。しかし、技術の進歩は想像していた以上に早く、電池の性能は飛躍的に高まり、充電設備も整いはじめた。そこで、ドイツメーカーもようやくEVに力を入れはじめたのだ。

キメの細かい安全運転への気配りに驚き

 メルセデスは2021年に「EQe」を発表。2022年9月には「EQE」「EQS」と矢継ぎ早にEVを発売している。とくに「EQE」「EQS」はエンジンなどの部品が不要という利点を生かしたデザインのクルマを送り出し、その先進性を印象づけている。

 そして、2023年5月には「EQS SUV」を追加した。正確には「EQS 450 4MATIC SUV」(1542万円)と「EQS 580 4MATIC SUVスポーツ」(1999万円)だ。

車名のとおり「EQ」シリーズの最上級「Sクラス」をベースにしたSUVで、乗車定員は3列シートの7人乗りを標準としている。

 パワーユニットだが「450」「580スポーツ」ともに前後アクセルに電動パワートレイン(eATS)を搭載、電気モーターは永久磁石同期モーター(PSM)が採用されている。「450」は最高出力360PS、最大トルク800Nm。「580スポーツ」は544PS、858Nmを得ている。

 リチウムイオン電池の総エネルギー容量は107.8kwh。航続可能距離は「450」が593km(WLTCモード)、「580スポーツ」は589km(同)。4輪駆動のトルク配分はトルクシフト機能により前、後のモーターの間で連続可変配分が行なわれる。

 今回、試乗したのは「450 4MATIC SUV」。全高1725mmのクルマに乗りこむ。固定式のステップがあるので、乗降時は便利だ。着座位置は車両に対してやや低めに感じるが、これは前面の計器盤がドアウインドよりも高くなっているから。その計器盤は運転席側から助手席の前まで一枚の湾曲した液晶パネルになっている。これはセダンの「EQS」と同じ。この液晶パネルにはさまざまな機能が与えられている。担当者から説明は受けたが、とてもその場では覚えられない。

 印象に残った機能では、新たに助手席の前にテレビ画面が映し出される。パネル中央にも画面は出る。しかし、中央の画面は走り出すとテレビ画面は消えてしまう。でも助手席の画面はテレビが放送されている。そこで1人で運転している時に助手席のテレビを見ていると、テレビが突然、消えた。その理由は、運転席前のモニターが、運転者の目の動きを監視しており、助手席のテレビを見ていると認識すると安全運転の観点から、テレビを消すというのだ。そこまでやるか!という実にキメの細かい安全運転への気配りだ。

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