アドフラウドはWeb広告に関する専門用語の一つ。日常生活のなかで使われることはあまりないかもしれないが、日頃からWebサイトにアクセスする機会が多い場合は意味を知っておいて損はないはずだ。
そこで本記事では、Web広告用語「アドフラウド」の意味や仕組みについて解説する。最後に紹介するアドフラウドの種類も、ぜひこの機会にチェックしておこう。
アドフラウドとは
まず、アドフラウドとは何か、基本的な仕組みを確認していこう。
■Web広告上の広告詐欺や不正広告のこと
アドフラウドとは、インターネット上に掲載される広告である「Web広告」における広告詐欺や不正広告のこと。
そもそもWeb広告は、広告の表示回数やクリック数ごとに、Webサイトに対する報酬が発生する構造になっている。この構造を利用し、自動プログラムを用いて不正に広告費を騙し取るのがアドフラウドだ。
■アドフラウドの仕組み
アドフラウドは以下の手口で行われるのが一般的だ。
1.ハッカーや不正業者がアプリケーションやプログラムを作成し、操作環境を整える。
2.フリーアプリに紛れ込み、作成したアプリケーションやプログラムをユーザーにダウンロード・インストールさせる。
3.アプリケーションやプログラムを操作し、一ユーザーにサイトへアクセスさせ、不正業者側が不正のために使う情報を取得する。
4.信用力や広告出稿先として魅力的なように見せかけるために、アドフラウド用のサイトを立ち上げ、さまざまな手法で大量のアクセスを稼ぐ。
5.4のサイトに広告が出稿され、悪意あるアフィリエイトサイトからクリックを発生させる。
6.不正な広告インプレッションやクリックの対価として、ハッカーや不正業者に広告費が支払われる
知らないうちに、ハッカーや不正業者がアプリケーションやプログラムボットをダウンロードしてしまい、無自覚に不正に加担している可能性もあるため気を付けよう。
アドフラウドが広告主に与えるデメリット
次に、アドフラウドによって広告主側に生じるデメリットをいくつか紹介する。具体的にどのようなリスクがあるのかを理解しておこう。
1. 不要な広告費の支払いが生じる
Web広告を掲載した場合、広告表示やクリックの回数に応じて成果報酬を支払う。そのため、実際には購入や契約などの最終的な成果が出ていなくても、水増しされた表示回数やクリック回数に応じた不要な広告費を払うことになる。
2.広告が不適正に評価される
アドフラウドの被害に気付かないままだと、水増しされた広告表示やクリックの回数が成果として評価されてしまい、適切な広告評価ができなくなる。
3. ブランドイメージが悪化する
先述のとおり、アドフラウド用のサイトはアクセスやクリック回数を稼ぐことを目的として作られたもの。不正なサイトに広告が掲載されることで広告主のブランドイメージが傷つく可能性がある。アダルトサイトなどの、本来、掲載先として好ましくないサイトに広告が掲載されてしまう場合もあるため、注意する必要がある。
アドフラウドの種類
最後に、アドフラウドの種類をわかりやすく紹介する。アドフラウドに引っかからないよう、種類を把握しておこう。
1. クリック洪水
クリック洪水とは、プログラム「bot」を用いて、広告表示やクリックの回数を増やすアドフラウドのこと。「クリックスパム」とも呼ばれる。業者に登録させられたサクラが一般のユーザーとして広告を表示し、クリックすることで、回数を水増しすることもある。
2. 過度な広告領域
広告が多い「おとり」ページにユーザーを誘導し、広告の表示回数を増やすアドフラウドのこと。「おとり」ページは、検索結果では通常のページに見えるため、意図せず広告をクリックしてしまう恐れがある。
3. 隠し広告
ユーザーに見えない広告を配置し、広告の表示回数を増やす手法。隠し広告の表示には、Webサイトの文字の色や大きさなどの見た目を設定する言語「CSS」が利用されるのが一般的だ。隠し広告では、目立たない箇所に広告を入れたり、透明な広告を表示させたりして、広告表示をコントロールする。これらの広告は実際にはユーザーに見られていないものの、表示回数にはカウントされてしまう。
4. 過度な自動リロード
サイトページ全体ではなく、広告枠のみを自動で過度にリロードし、広告の表示回数を増やすアドフラウドのこと。表示回数が増えること自体、正しい広告成果が図れないためデメリットがあるが、リロードが速いと自社サーバーへ負担が増えるため、サーバーがダウンし、サイトにアクセスできなくなる可能性がある。
5. 不正な広告のすり替え
他のサイトを見ている際、そのサイトに関する広告に扮して、不正業者側の広告を表示する手法。他のサイトが通常の広告を表示させていても、不正業者側が広告を不正なものにすり替え、表示させる。閲覧者側は広告がすり替えられていても気づかないことが多い。
6. 広告成果の偽装
プログラミングによって広告成果を偽装する行為もアドフラウドに該当する。具体的には、インターネットでWebサイトを閲覧できる「ブラウザ」をプログラミングし、広告表示やクリックの回数を自動的に水増しさせるなどの手口が見られる。プログラミングを使った広告成果の偽装は、発見や対策が難しいとされている。
7. デバイスのハッキング
ユーザーが使っているデバイスを乗っ取り、広告表示やクリックの回数を水増しする方法。「インストールジャック」「インストール・ハイジャック」とも呼ばれる。ユーザーがアプリをインストールする際に不正プログラムに感染すると、実際に閲覧していない広告も閲覧したとして、広告表示回数が水増しされる。
※データは2023年10月下旬時点のもの。
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文/編集部