『泥仕合』はさまざまなシーンで使える便利な表現のため、意味や由来、使い方を例文とともに確認し、正しく使いこなせるようになりましょう。日常会話で使いやすい言い換え表現も紹介します。理解が深まれば、表現の幅も広がるでしょう。
「泥仕合」とは
聞いたことがあっても、『泥仕合(どろじあい)』の意味をよく理解していない人もいるかもしれません。正しい意味や由来を確認し、知識を増やしましょう。
秘密などを暴き合い醜く争うこと
泥仕合は、お互いに相手の秘密を暴き合い醜く争う様子を指します。よく使われる場面が、スポーツの試合です。選手同士が反則技を使い合ったり、なかなか勝負がつかなかったりするなど、醜くて見ていられないような試合に対して使われます。
スポーツに関する場面で使われるケースが多いため、『泥試合』と表記するのだと勘違いしている人もいるのではないでしょうか?泥仕合が正しい表記なので、間違えないように注意しましょう。仕合には、相手に対してお互いが同じようなことをし合うという意味があります。
由来は歌舞伎の演出用語
泥仕合の由来は、歌舞伎にあります。歌舞伎の演出用語の一つで、舞台上に泥田を作って役者が立ち回って演じる演目が由来です。役者が泥まみれになって、激しく動いたり争ったりすることから、泥仕合という言葉ができたとされています。
江戸時代の歌舞伎では、泥仕合のほかにも屋根の上を立ち回る屋根仕合や、水中で立ち回る水仕合と呼ばれる演目もあったようです。
「泥仕合」はどう使う?
言葉の意味を理解しても、実際に会話の中でどのように使えばよいのか分からないという人もいるでしょう。使い方を分かりやすい例文とともに紹介します。状況に合わせてアレンジして使ってみましょう。
使い方や例文を紹介
泥仕合はスポーツに関連するシーンで耳にする場合が多いですが、人間関係や金銭トラブルなど、さまざまなシーンで使えます。
【例文】
- 先日のラグビーの試合は、どちらのチームも反則ばかりで退場する選手が出るなど、スポーツマンシップのかけらもないひどい泥仕合だった
- それまでは仲がよかった家族でも、親の遺産相続をきっかけに泥仕合になり、家族関係が悪化することは珍しくない
- 昇進をめぐって、互いに足を引っ張り合うような泥仕合にならないとよいのだが
このように、金銭をめぐる見苦しい争いや人間関係のいざこざにも使われる表現です。
「泥仕合」の言い換え表現
泥仕合には、どのような言い換え表現があるのでしょうか?主な言い換え表現を四つ紹介します。どれも日常会話で使いやすい表現ですが、それぞれ使うのに適した状況が異なるので、注意が必要です。意味だけでなく例文で使い方も確認し、状況に合わせて使いこなせるようになりましょう。
修羅場
『修羅場(しゅらば)』は、激しい戦いや争いが行われている場所・場面を意味します。修羅場の『修羅』は、仏教における守護神とされる帝釈天(たいしゃくてん)と対立関係にある阿修羅(あしゅら)が由来です。
この二者が戦う場所が『修羅場(しゅらじょう)』と呼ばれ、これが転じて『修羅場(しゅらば)』となったとされます。人形浄瑠璃や歌舞伎などでは、激しい戦いを演じる場面が修羅場と呼ばれてきました。
もともとの意味が転じて、男女関係のもつれなどにもよく使われているため、耳にした経験がある人もいるでしょう。
【例文】
- 戦時中は激しい戦闘が繰り広げられ、まさに修羅場と呼ばれる状況だっただろう
- 肝が据わっているのは、多くの修羅場を乗り越えてきたからに違いない
- ドラマの主人公の浮気がばれて修羅場となったシーンが話題になっている
小競り合い
『小競り合い(こぜりあい)』は小さなもめ事を指し、交渉やけんかなどの場面で使われます。ささいなことをきっかけに責任の押し付け合いや言い合いが生じ、いざこざに発展するというような場合に適した表現です。
【例文】
- 最初は小競り合い程度だったが、後に国際問題に発展した
- 新商品の開発に関する会議で、方向性の違いから小競り合いになり、会議が一時中断した
- 近所の人たちの小競り合いには巻き込まれたくない
一悶着
『一悶着(ひともんちゃく)』は、小さなもめ事や騒ぎを意味する言葉です。不愉快な気持ちが続くという意味を指す中国語である『悶着』が由来とされています。
主に、意見や感情のささいな食い違いが原因で起こるもめ事などに対して使われる表現です。
【例文】
- 朝から母親と一悶着あって機嫌が悪いようなので、聞きたいことがあるなら後にした方がいいよ
- 彼女とは過去に一悶着あったから、会うのが気まずい
- 今日の親戚との食事会は、一悶着ありそうで気が重い
罵り合い
『罵り合い(ののしりあい)』は、互いに汚い言葉で相手を非難したり、騒ぎ立てたりすることを指します。感情的に怒りをぶつけ合っているようなケースで使う表現です。冷静さを失い、相手を侮辱したり傷付けたりするような攻撃的な言葉をぶつけ合うような場合にも使います。
【例文】
- テレビという公の場で、意見の違いから罵り合うのは不適切だと思う
- 相手に対してどんなに頭にきても、子どもの前で罵り合うことだけはしないと夫婦で決めている
- スポーツ観戦中に、サポーター同士の罵り合いが始まった
構成/編集部