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進行膀胱がんの新たな治療戦略によって膀胱を温存できる可能性、マウントサイナイ・アイカーン医科大学報告

2023.10.26

進行膀胱がんの新たな治療戦略で膀胱を温存できる可能性

筋層浸潤性膀胱がんの新しい治療方法の開発に関する第2相試験の結果を、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学教授のMatthew Galsky氏らが、「Nature Medicine」に2023年10月2日報告した。

同試験では、標準治療である膀胱摘出術を行わずに、化学療法と免疫療法を組み合わせることで、がんを管理できる可能性が示されたのだ。この治療法は、患者の生活の質(QOL)を改善し、身体的・精神的な負担を軽減する可能性がある。

筋層浸潤性膀胱がんとはがんが膀胱の筋層に浸潤している状態を指す。筋層にがんが浸潤すると、がんが他の部位に転移する危険性が高くなるため、通常は膀胱の摘出術が行われる。

しかし、この手術を受けた患者は、尿を体外に排出するために、外付けの蓄尿バッグを下腹部に装着する処置も受けることになる。Galsky氏は、「膀胱の摘出は人生を変えるような結果をもたらすため、別の方法でがんを取り除く治療法を開発すべく研究が重ねられている」と説明する。

こうした状況下で、マウントサイナイ、シティーオブホープ医療センター、ペンシルベニア大学、ウィスコンシン大学、南カリフォルニア大学、ユタ大学、オレゴン健康科学大学の研究者らによって実施されているのが今回の研究だ。

研究グループは、76人の膀胱がん患者を対象に、膀胱を温存しながらゲムシタビンとシスプラチンによる化学療法に免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブを用いた免疫療法を併用する治療(1サイクル21日間を4サイクル)の有効性を検討した。

治療後、試験に参加した膀胱がん患者の43%(33人)が、がんが検出されない状態〔臨床的完全奏効(cCR)〕を達成したことが示された。また、cCRが得られたこれらの患者のうちの32人は、膀胱の摘出術を受けずに追加で免疫チェックポイント阻害薬による治療(中央値8サイクル)をさらに継続した。2年後に再評価したところ、治療継続を選択した患者の約70%でがん再発の兆候は認められなかった。

ニューヨーク在住の72歳のタクシー運転手であるDavid Cabelisさんも、この臨床試験へ参加した。Cabelisさんは、2017年4月に初めて膀胱がんと診断され、同年の秋にマウントサイナイで治療を開始した。

治療に伴い、Cabelisさんは疲労、衰弱、激しい不安発作に悩まされた。また、ナトリウム濃度が急激に低下して倒れたこともあったが、乗り越えた。

Cabelisさんは、「数カ月後の検査で、がんがなくなっていることが分かった。私は医師たちから試験を継続したいかを尋ねられ、もちろん『イエス』と答えた。私はリスクを承知でトライし、最後までやり通した」と振り返る。

それから6年が経過した後も、Cabelisさんはがんとは無縁のままである。当初3カ月に1回だった検査は、現在では年に1回受けるだけで良いという。

Cabelisさんは、「私は膀胱がんと診断され、この治療を受けた。そして、ありがたいことに、今はがんとは無縁だ。だから、この治療法について聞かれたら、客観的な意見ではないかもしれないが、『素晴らしい治療法だ!』とだけ答える」と話している。

この試験結果には勇気付けられるが、Galsky氏は、「この治療法が主流の治療法となり得るかどうかを判断するには、より長期の追跡と追加の試験が必要だ」と言う。

この点については、同試験には関与していない米イェール大学医学部泌尿生殖器腫瘍学主任のDaniel Petrylak氏も同意見だ。同氏は、「この結果は確かに興味深く刺激的だし、理にかなっているが、対象患者が70人をわずかに超える程度と少ないため、今後、より長期にわたる大規模なランダム化比較試験で結果を検証する必要がある」と指摘している。

なお、今回報告されたのは第2相試験の結果だが、すでに追加試験が始まっているほか、もう1件の試験が6カ月以内に開始予定であるという。(HealthDay News 2023年10月10日)

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nature.com/articles/s41591-023-02568-1

Press Release
https://www.mountsinai.org/about/newsroom/2023/advanced-bladder-cancer-patients-could-keep-their-bladder-under-new-treatment-regime-clinical-trial-shows

構成/DIME編集部

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