レクサスブランドとして初のピュアEV、それが「UX300e」だ。2020年10月にデビューした時は、2020年度生産分135台の限定モデルだったが、その後、年次改良を重ね、EVとしての性能は向上。今ではレクサスブランドのグローバルコアモデルとして90以上の国と地域で、2022年12月時点で累計121万台を販売している。最新モデルは2023年3月に一部改良を受けた現行モデルでEVとしての完成度も高くなってきた。
最新の仕様では電池パックを新たに開発したことで、航続距離は512kmへ
2020年10月デビュー当初の「UX300e」は、総電池容量54.4kwh、一充電航続距離は367km(WLTCモード)だったが、2022年10月の年次改良では、総電池容量を72.8kwhにアップ、航続距離も450km(同)まで延ばした。さらに車両本体もサイドドア、バックドア周辺のボディ開口部のスポット溶接打点を20点追加し、ボディー剛性が向上している。そのほか予防安全技術の機能も拡充した。出力やトルクの数値は変わらなかった。
今回、試乗したモデルは2023年3月に公開された最新の仕様では電池パックを新たに開発したことで、航続距離が更に延び512km(同)に達している。さらに今回、クルマから家に電気を供給できるV2H(Vehicle to Home)に対応。これはクルマに蓄えた電気を自宅に供給できる仕組みで「V2H機器」をつなげることで充電と給電が可能になった。電力供給時間は約2.5日(満充電で消費電力400W時)。V2Hを備えたことで、補助金もアップする自治体もあるので、ユーザーにはうれしい改良だといえる。
「UX300e」は「バージョンe」(630万円)と「バージョンL」(685万円)がある。価格差はタイヤサイズ、セーフティ機能の一部、シート機能の一部などに違いがある。試乗したのはバージョンL。「300e」は2021年4月に試乗したのが最後だった。ということは、総電池容量54.4kwh、航続距離367kmの初期モデルということになる。
当然、ボディーも溶接打点の増し打ちやリアサスのパフォーマンスダンパーも装備される前の状態だった。マイナーチェンジの効果は、ハンドルを握り、走り出して路面の突起を乗りこえた時に、体感できた。上下動の収まり速度としなやかさが違う。走り出しは、ドライビングモードを「NORMAL」にセットしたが、突起のこなし方がスマートになっている。