眼科医で二本松眼科病院副院長の平松類先生は「世の中には誤った目の健康法・健康情報がはびこっています」と注意を促している。
特に、私達が日常的にやっている特定の習慣が、知らないうちに目に悪影響を与えているらしい。例えば下記の質問、自分にあてはまる項目をチェックしてみよう。
・1カ月以上前に買った目薬を使っている
・3年前に買ったサングラスを今でも使っている
・水をがぶ飲みしてしまう
・寝つきがいい
・ブルーライトカットメガネを使っている
・目がいいから、検診を受けていない
平松先生によると、「この中で、1つでも当てはまるあなたは、要注意です。知らず知らずのうちに、自分の目を傷つけてしまっているかもしれません」と言う。
ぜひ知って欲しい5つの目の非常識
50万部を突破した『ガボールアイ』シリーズで人気の眼科医、平松類先生。このほど、私達が間違って身に着けている目に悪影響を与えている行為、39項目を解説した「眼科医が警告する 視力を失わないために今すぐやめるべき39のこと」(SBクリエイティブ発刊、定価900円+税)を発刊した。
今回は平松先生の協力で、新刊書から5項目をセレクトして、私たちが感じる目の常識が、眼科専門医によると「非常識」である点を解説してもらった。
その1 緑を見ると目にいい
――平松先生、よろしくお願いします!私は緑を見るのは目に良いことだと信じていましたよ!
平松先生 昔から言われている「緑は目にいい」は誤解です。正しくは「遠くを見る習慣があると近視が進行しづらい」です。重要なのは距離であって、「色」ではありません。遠方のスカイツリーを見ようと、遠方の山々を見ようと、距離が同じならば効果に違いはないわけです。
昔は遠くを見ると、自然の景色が目に入ったのでしょう。そこから転じて「緑は目にいい」と言われるようになったと思われます。
その2 メガネを使うと近視が進む
――子供の頃、メガネは近視が進むからと買ってもらえませんでしたよ?
平松先生 これは「都市伝説級に根拠のない話」です。似たようなもので、「老眼鏡をかけると老眼が進む」というのも完全な誤解です。眼力は筋肉とは違います。鍛えれば能力があがるという性質のものでは無いので、弱っているのならば相応にサポートしてあげる必要があるのです。
実は眼科専門医の間でも、「メガネで近視が進む」という話が信じられている節がありました。現状の視力ピッタリ合わせた度数よりも、少し弱い度数でメガネを作るのも、当時は当たり前だったようです。
近視の進行度合いとメガネの度数には、相関がありません。ピッタリ度数を合わせたメガネを使うことは、目を甘やかし、近視を進ませることにはつながらないのです。
近年、遠近両用のメガネやコンタクトレンズを使っていると、ごくわずかながら近視の進行が緩和されると、新たに指摘されています。まだ日本ではあまり普及していないのですが、中国などでは近視の進行防止の目的で、大人だけでなく子どもにも近視抑制専用のメガネやコンタクトレンズを処方する医師が増えてきています。