体の内側から外側まできれいにしてくれる麹の力
――なるほど!麹について興味がわいてきました!
阿部先生 新刊書では「塩麹」「醤油麹」「玉ねぎ麹」「トマト麹」「中華麹」「甘麹」という6種類の麹調味料と、それらを使った料理91のレシピの作り方を紹介しています。
料理が苦手な人こそ、麹を使ってほしいと思います。また、「今日は料理をするのが面倒だな」と思う日も、麹があると思うと、気持ちが楽になります。なぜなら、麹調味料はどんな食材にも合いますし、入れて放っておくだけで、料理がおいしくなるからです。
きゅうりや白菜など、生野菜を麹調味料で和えるだけで、一品が出来上がります。肉や魚にとりあえず塩こうじを揉み込んでおけば、下味がつきます。「和える」「漬ける」「味つけ」「だしにする」の4つの使い方が可能で、和洋中どんな料理にも使えます。
麹菌がつくりだす酵素は、食材の味に深みをもたらします。食べ物がおいしくなり、簡単に料理の味付けが決まるほか、「保存性が高まる」「健康維持は体力アップにつながる」「美肌になる」等の効果があります。麹に含まれるビタミンB群は代謝を上げる効果があるほか、麹菌は美白効果もあり、体の内側から外側まできれいにしてくれます。
実際に塩麹を作ってみよう
――基本の塩麹の作り方を教えてください。
阿部先生 まずは乾燥米麹を使った塩麹の作り方を紹介しましょう。材料は米麹100g、水が150ml、塩35gです。生麹を使う場合は、麹と水の割合は1対1にしてください。
最初に麹をほぐして塩をまぜます。ボウルに麹を入れ、固まっていたら手でほぐします。その後、塩を入れてよく混ぜ合わせます。
水を混ぜます。腐敗を防ぐため、そこからしっかりと混ぜ合わせましょう。
最後に保存容器に移して、常温で発酵させます。気温によって1~2週間ほどで完成します。麹がやわらかくなったら冷蔵庫で保存して3か月以内で食べきるようにしましょう。
ポイントは1)一日一回よくまぜること。清潔なスプーンで全体をしっかりとかき混ぜます。まぜないと空気に触れている部分に雑菌が繁殖しやすくなります。
2)ふたつめのポイントは途中で水を足すこと。麹が水を吸ってしまうので、麹が浸かるぐらいに10~20mlずつ水を足しましょう。
また、塩分濃度が10%を下回ると腐敗しやすくなります。塩を減らすのはお勧めできません。
他にも早く作る方法として、ヨーグルトメーカーを使ったり、電気圧力釜や炊飯器なども利用できます。詳しくは新刊書を参照ください。
簡単!ささみと大根の便秘解消梅スープの作り方
――最後に料理が苦手な人でもできる、簡単で美味しい麹の料理を一品紹介していただけますか?
阿部先生 これから少しずつ寒くなる時期に、塩麹を使った温かいスープはいかがでしょうか?残業から帰った後、ご自身で美味しくいただくのも良いですし、休日のお昼など、ご家族につくってあげると喜ばれるでしょう。
ささみと大根の便秘解消梅スープ
材料(2~3人前)
とりささみ3本
大根8㎝
たまご2個
梅干し2個
A 塩麹大さじ1~1と1/2、しょうゆ小さじ1、酒大さじ1、水500ml
片栗粉大さじ1
水少々
つくりかた
1) ささみは筋をとり、ひと口大に切る。大根は1㎝幅のいちょう切りにする。梅干しは種をとり4等分にする。
2) 鍋にAを入れて煮立てて1)を加え、アクが出たら除き、大根がやわらかくなるまで中火で煮る。
3) たまごは溶きほぐす。2)が沸騰したら溶きたまごを入れる。
4) 片栗粉を水で溶き、3)に加えてとろみをつける。
塩麹をお湯にとかすだけで、滋味あふれるスープになります。市販のコンソメやだしの素を使う必要がありません。冷蔵庫の残り野菜を片づけるのにも、うってつけの一品です。
ーーありがとうございました!
わが家でもすでに仕込み済みの塩麹。美味しい塩麹に育っていると思うと、生き物を飼っている楽しさもある。作っている最中にも幸せをくれる塩麹の魅力をぜひあなたも感じてみて。
インタビュー 阿部 かなこ先生
麹料理研究家。佐賀県在住、夫とふたり暮らし。中学時代にリンパ系の疾患を患い、副作用で悩んだ経験から、大学卒業後は製薬会社に就職。糖尿病専門のMRとして勤務しているときに、医食同源の重要性を痛感する。その後、「麹のある暮らし」をテーマに、万能に使える麹調味料や、麹を使ったオリジナルレシピ、麹の効能、心と身体に優しい食生活などについてインスタグラムで投稿し、人気に。現在のフォロワーは11.8万人(2023年10月5日現在)。モットーは、『人にも環境にも良い暮らしを「楽しく」』
文/柿川鮎子