サプライチェーンの構築と製造のハウツーに関するベストプラクティス
英国規格協会(The British Standards Institution、以下BSI)は、英国で最も価値の高い輸出品の1つであるウイスキーに対して、信頼できるサプライチェーンの構築と製造のハウツーに関するベストプラクティスを定めた新しいガイドラインを策定した。
同協会は発表に際して、「これにより、世界中の消費者がウイスキーの品質により大きな信頼を寄せることができるようになります。この新たな英国規格(BS)は、最低限の規制要件の設定よりも製品の品質に焦点を当てたもので、国内および世界市場向けのウイスキーを製造する蒸留所を支援します」とコメントしている。
英国にとってウイスキーは重要な輸出品であり、2022年単年で見るとアルコール輸出総額が推定65億ポンド(※1)に対し、米国へのウイスキー販売額は推定10億ポンドを超えている(※2)。
この規格は、国家規格機関としての役割を担うBSIが、スコットランド、ウェールズ、イングランド、およびアイルランドのウイスキー業界から招集した専門家と協力して策定したもので、ウイスキーに関する世界初(※)の規格となった。
※:BSIグループジャパン調べ
世界で取引されるウイスキーの主要カテゴリーに対して、その製造工程を規定
ウイスキー産業が世界中で成長し(※3)、新たな蒸溜所が次々と生まれている。
この規格は、英国とアイルランドのウイスキー業界の専門家が持つ製造に関する深い知識に基づいており、それぞれのウイスキー製造者が原料や製造工程に由来する特有の色、香り、味わいを作り出すための方法を規定している。
この規格 (BS 8636) は、世界で取引されるウイスキーの主要カテゴリーに対して、その製造工程を規定したものだ。
これは、国内外で販売するために高品質な製品の製造を目指す蒸溜所を対象としており、既存ブランドであれ新規参入者であれ、製造工程とサプライチェーンにおける品質と信頼性を実証するのに役立つはずだ。
また、英国内だけでなく、消費者の期待に応える高品質な蒸留酒の製造を目指す世界各国のメーカーにも適用される。
BSIの規格担当ディレクターであるスコット・スティードマン(Scott Steedman)氏は、今回の発表について次のように述べている。
「このウイスキーの新規格は、消費者と業界の利益のために、ウイスキー蒸留の古くからの伝統を効果的に詰め込んでいます。
私たちは、蒸留所がその技術と高品質のウイスキーを特徴づけるユニークな個性に大きな誇りを持っていることをよく理解しており、英国とアイルランドのウイスキー専門家と協力して、この世界的に名高い製品をどのように評価すべきかについて合意し、基準を制定できたことを喜ばしく思っています。
この規格が品質のベンチマークとなって、それを適用する蒸留所の価値を高め、世界中の消費者の信頼を高めることを願っています。この新規格は世界的に適用され、高品質なウイスキーの製造と取引を世界中で促進するのに役立つことでしょう」
さらに英国経済産業大臣のケビン・ホリンレイク(Kevin Hollinrake)氏は次のように話す。
「ウイスキーは、既に我が国最大の輸出品の1つですが、この規格は海外での販売をさらに伸ばすことに貢献するでしょう。我が国は世界でも最高品質のウイスキーを製造していることで知られており、この革新的な新規格によって、業界の先駆者として、またリーダーとしての役割を継続することができます」