特定の業界では当たり前のように使われている用語であっても、業界の外側にいる人人には意味や使い方が「わかりにくい」と感じる言葉は少なくない。小売やアパレルで使われる「SKU」もそんな業界用語の一つだ。商品を扱う際の単位として使われるため、関連する業界で働く場合はもちろん、副業でネットショップを出店する場合などにも知っておくと便利だろう。
そこで本記事では、「SKU」の言葉の意味と実際の現場での使い方、メリット・デメリットを解説する。
「SKU」とは在庫管理で使われる物流用語
SKUとは「Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)」を略した言葉。読み方は頭文字をそのまま「エス・ケー・ユー」と発音することが多い。英単語の意味からもわかるように、商品の在庫を管理する際に使われる単位を指す。
「SKU」をわかりやすく言い表すと?
アパレルにおける実際のSKUの例で見てみよう。例えばTシャツの場合、展開するカラーが4色で、サイズがS・M・L・LLの4種類あるとすると、4色×4サイズで「16SKU」となる。
SKUは在庫を管理するための最小単位で、アパレルやスーパーなどの小売はもちろん、飲食業界や化粧品業界などでもSKUを使って発注・在庫管理を行うことが多い。
商品管理に「SKU」が使われる理由
在庫管理にSKUが使われるのは、サイズ・カラーなどの種類別に商品の売上を管理するからだ。商品がSKUごとにまとまっていないと、どのサイズ・カラーの商品が売れたかを正確に把握しづらいため、サイズ違いや色違いの商品を大量に取り扱う物流系の業界でよく用いられている。
SKUを設定する際の考え方は?
SKUには、決まった一律のルールがなく、在庫を管理する現場によって設定の仕方が異なる。ただし、一般的には以下のルールに則ってSKUを設定することが多い。
・JANコード(商品識別コード)を基準に分ける
・同じ種類でも内容量の違いで分ける
・ケース売りとバラ売りで分ける
・異なるパッケージデザインの場合はケースバイケース
商品にJANコード(商品識別コード)が付いている場合は、基本的にこのバーコードをもとにSKUを設定する。JANコードはメーカー側が商品に対して割り当てるため、メーカー側の分類に従う形だ。
一方、JANコードがない商品(限定ハンドメイド等)などで迷いやすい場合は、「内容量の違いで分ける」「ケース売りとバラ売りを分ける」などが一般なルールとして適用される。
なお、商品内容は同じだがパッケージデザインのみが異なるといったケースでは、デザイン変更の意図を見て分けるか分けないかを判断すると良い。例えば、色彩を微調整した等で大きな変更がない場合は同一のSKUで、コラボデザインのように一定の特徴をメーカー側が打ち出している場合は個別のSKUを設定した方が、通常パッケージとの訴求力の違いも洗い出せる。
「SKU」のメリット&デメリットは?
物流・小売の現場で一般的に利用されているSKUだが、利用するうえで押さえておきたいメリット・デメリットもある。一つずつ見ていこう。
「SKU」のメリット
・在庫管理がしやすくなる
・大量の商品を管理できる
・発注作業を効率化できる
・陳列作業を効率化できる
SKUは「サイズごと」「カラーごと」の在庫把握が可能となる。商品をSKUで管理することで、必要な商品のみを仕入れられるため、在庫管理や発注作業を効率化でき、結果として多くの商品を取り扱えるようになる点がメリットだ。
また、陳列作業を行う際もSKUによって商品のカラー展開やサイズ展開を把握し、売り場の必要スペースを確保できるようになる。
特に、取り扱う商品数が多く、売り場面積の広い店舗の場合は、SKUで個々の商品を把握することが大きな業務効率化につながる。
「SKU」のデメリット
・導入や運用にコストがかかる
・現場に管理方法が浸透するまでに時間がかかる
一方、SKUのデメリットとしては、導入・運用に当たって設備投資が必要になる点が挙げられる。例えば、SKUのための在庫管理システム、バーコードリーダーなどを導入する際は、高額な初期費用がかかる点に注意したい。
また、SKUを使った在庫管理では、機器やシステムを刷新するだけでなく、取り扱う人間側も管理方法を習得する必要がある。
SKUによる発注作業や仕分け作業、商品の陳列作業などを従来のやり方から置き換える場合、慣れないうちはどうしても戸惑いがちだ。社内研修やマニュアルの作成などを行ってスタッフをフォローする必要があるだろう。
※データは2023年10月中旬時点のもの。
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文/編集部