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なぜつながらない?ドコモと他キャリアの通信品質にここまで差が出た理由

2023.10.23

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、キャリアの通信品質について会議します。

ソフトバンクのネットワーク品質対策

房野氏:ソフトバンクがネットワーク説明会を開催して注目されていますね。

房野氏

石川氏:モバイルネットワークの分析をしているOpensignalという会社の調査データで、最近、ソフトバンクのネットワーク品質の評価が高いです。なぜソフトバンクの品質が良いのか、一方、ドコモはなぜ評価が下がったのかと話題になっています。ソフトバンクとしては何かしら発表したかったんだと思います。

 ネットワークを担当する関和さん(ソフトバンク 常務執行役員兼CNO(チーフ・ネットワーク・オフィサー)の関和智弘氏)の話をまとめると、4Gと5Gのミックスがうまくいっているということでした。アンカーバンド(ノン・スタンドアローン方式での5G接続時に同時に使われる4Gの通信バンド。ユーザーデータの通信とは別に、無線制御などで使われる)があって、そこがうまいこと5Gと4Gのデータを流すことによって、安定したネットワークを作っている。

 ほかにも色々と理由があって、1つにはイー・アクセスとウィルコムを救済したので、継承した基地局の場所がいっぱいあること。また、Massive MIMO(非常に多くのアンテナを使って通信速度を向上させる技術)をやっていること。ただ、Massive MIMOは、めちゃくちゃ効果があるというわけではなくて、ある程度効果があるだろうというレベル。Massive MIMOは確かに良い技術なんだけど、アンテナがちょっと大きくて設置しにくい。日本のビル環境では設置しにくいので、確かに技術的にはアドバンテージがあるけど、そんなに数多くは展開できていないということでした。

 あと、ビッグデータの活用。ソフトバンクの子会社にAgoop(アグープ)という会社があるんですが、昔、プラチナバンドを持ってない頃に、電波がつながらないところをチェックするために、ユーザがインストールするアプリケーションの中にチェックする仕組み入れていて、そこからデータを集めてソフトバンクが使えない場所を探し出した。

石野氏:いわゆる「ラーメンチェッカー」アプリですね。

石川氏:今は、Agoopの仕組みによって品質が落ちているところを探して対応する、ということをしているそうです。結果として安定したネットワークができているという感じでした。

石野氏:ドコモと違うのは、検知がとにかく早いこと。Agoopのデータがあることで、どこでパケ詰まりが起きているかをメッシュで可視化できるんですよ。ドコモは、基地局をチューニングした後、現地に人を派遣して、通信環境が改善されたかどうかをチェックしている。ということは、Agoopのような即時性のあるデータが取れていないということなんですよ。

石川氏:事後処理でしか対応できていない。石野さんがドコモにつながらないと文句を言っても、「またなんか言っているよ」みたいな感じ(笑)。だけど石野さん以外も言い始めた。何かあるなと思って色々調べてみたら、どうやらネットワーク品質が落ちているらしいということがわかって、ようやく対処した、ということなんですよ。ドコモは、災害対策の説明会か何かで、ユーザーの動向は見えていない、みたいなことを言っていたんですよ。

石野氏:基地局の状態はわかるけど、ユーザーがどういう状態かはわからない。

石川氏:一方、ソフトバンクはAgoopのデータを吸い上げる仕組みでわかっている。その違いが、品質が悪くなったら対応できるソフトバンクと、なかなかわからないドコモとの違いになっているのかなと思いました。KDDIはX(旧Twitter)を見ている(笑)

法林氏:3社で比較すると、ユーザーが普段使うような自社製アプリが、ソフトバンクとauには割とある。auだと「au 5Gチャンネル」とか、データ容量を確認できる「デジラアプリ」とか。ああいうのでデータを取っていているんじゃないかな。

au 5Gチャンネル

石川氏:関和さんの話では、自社のアプリじゃなくて、別のアプリに入っているとか……

石野氏:SDKを提供しているので、色んなアプリに自然と組み込まれている。データの提供についてはユーザーの同意は取っているんですけど、いつの間にか気がついたら同意していた、みたいな感じかも。

法林氏:SDKに入れているにしても、Yahoo!もLINEもあるし、いくらでも取るデータを持っている。KDDIにも自前のアプリが結構ある。au Wi-Fiのツールを入れる時も、やたらとあれこれ同意しろっていう画面が出てくる。ドコモはそういうのがあまりない。ちょっと真面目にやりすぎちゃっている感がある。

石川氏:そういうデータの取り方をしていない。ネットワークセンターでチェックすれば、なんとかなるっていう感じ。

石野氏:人口動態データは基地局のデータじゃないですか。あの粒度でしか取れていないっていうことなので、ある場所で通信品質が悪かったら、この基地局が悪いということは見えるんですけど、周囲のユーザーの状態がドコモには見えていないので、対策の取りようがない。

石川氏:ソフトバンクはユーザーの体感を重視するというか、スループット云々ではなくて、ユーザーが操作したら、どれくらいで反応が戻ってくるかということを重視しているという話をしていた。

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