2tを超える車重にもかかわらず驚くほどの軽やかさ
そんなBMW iX1 xDrive30を走らせれば、2tを超える車重にして、驚くほどの軽やかさある、気持ちのいいモーター駆動の加速を開始する。操縦感覚はBMWならではの思い通りに向きを変えてくれる回頭感、自在感が健在で、さすがに床下バッテリー搭載による低重心、全高1620mmのSUVとしては低めの車高もあって、カーブなどでの腰高感は皆無。高速レーンチェンジもビシリとして不安な動きなくこなしてくれるのだから安心だ。乗り心地はバッテリーがボディ剛性を担っていることもあり、すこぶるしっかり感ある硬めのタッチながら、とくに高速走行ではフラットで快適。加速性能は極めて強力で、アクセルペダルを深く踏み込めば、血の気がひくような速さを披露するのだが、そこは暴力的ではなく、BEVらしい、ひたすら静かでスムーズな加速マナーに徹している。
街中で走りやすい!!と感じさせたくれたのが、前車に接近した時に回生力を生かし、自動減速してくれる機能だ。トヨタで言えばプロアクティブドライビングアシストに相当するもので、じつにありがたい。BMWのインテリジェントなアシストは、高速走行での優れたACC機能などだけでなく、普段使いにも活躍してくれるのである。
そしてBMW X1の大きな魅力が、このBEV(電気自動車)、ガソリン、ディーゼルの3タイプのパワートレーンが選べるラインナップを用意しているところだ。しかも、ガソリン車なら586万円の値付けで、606万円のディーゼルモデルに対してiX1は698万円に達するものの、電気自動車の補助金を考慮すれば、東京都の場合、ディーゼルモデルとほぼ同等の価格で手に入れることもできる”買い得感”もある。
それにしても、BMW iX1のライバルではなかなか得られない走りの軽やかさ、自在の操縦性はまさに「駆け抜ける歓び」そのもの。電気自動車になってもBMWはBMWであり続ける・・・ということを強く実感させてくれたのだった。
文・写真/青山尚暉