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教えてかなえ先生!後悔の気持ちの正体と部下の失敗に寄り添う方法

2023.10.27

過酷な環境に晒されているビジネスパーソンの悩みは深い。だが、日々の課題の中にこそ人生を豊かにするためのヒントが詰まっている。異色の経歴を持つVTuberが、今回は悩める上司からのお悩みに答えます!

後悔への処方箋

50代会社員です。最近、仕事に消極的な若手社員が増えた気がします。「やらない後悔よりやる後悔」と思って仕事に取り組んでほしいと思っているのですが、どのように声掛けすればいいでしょうか?

【結論】リスクとリターンを明示して、一緒にやってあげましょう

「後悔しないように動け」はそもそも良いことなのか?

 まず、昭和や平成初期においては一般的だった「若い時はガンガン挑戦して失敗しろ!」みたいな空気感が令和にマッチするかと考えてみると、少し違うような気がします。これは若い頃の失敗が将来の糧になるという、いわば〝長期的な視点〟ですね。

 短期的な視点でも考えてみましょう。挑戦は常に「成功」か「失敗」の2つの結末を生じさせます。成功のリターンより失敗のダメージのほうが大きい場合には、「やらない/動かない」という選択肢が正解とされることが多いわけです。

 若い人が短期的な経験としてのダメージを恐れて挑戦しないことに対して、年長者が「消極的」と判断するのはやや早計に思います。挑戦しない人はもしかしたら、過去のチャレンジで大きなダメージを負ってしまい、それによって得られるリターンよりもダメージのリスクを重視している人なのかも……そんな視点もあるでしょう。つまり、アナタが声掛けしようと思っている若手社員は、もしかしたら消極的なわけでもなく、やることを軽視しているのでもなく、成功や失敗などの予測結果を重視した結果、現状維持(やらない)が最適だと考えている可能性があるのです。

 そのうえで、次の話に移ります。少年院の先生をしてきた経験から、「後悔とは何か」について個人的に思うことを記そうと思います。

後悔の正体は「イレギュラー要素に対する執着の気持ち」

 少年院の先生(法務教官)として数多くの非行少年と接してきた私は、ことあるごとに彼らの「後悔」にも触れてきました。守秘義務があるので具体的な内容はお話しできませんが、皆さんもイメージするような「犯罪なんてやらなければよかった」「あんな仲間と行動を共にしなければよかった」というものが多いです。中には「もっとうまくやれば捕まらなかった」と間違った方向に後悔する人もいますが、基本的に自分たちの行ないに後悔の念を抱いている人が多数を占めていました。

 ここで今回のお悩みにも関連しますが、私たちは何かに挑戦しようとする時に大雑把にでも「成功によって得られるリターン」「失敗によるダメージやリスク」をパッと思い浮かべて、そこから成功するための手順や失敗回避の方法を逆算していると思います。少なくとも、私はそうなのですが、人間はおもしろいもので、全く同じ「成功リターンと失敗ダメージの天秤」を用意されたとしても、当人の考え方によって傾きが異なって見えてしまうのです。

 ざっくり言えば、自分の力量に自信を持っている人はパッと見て成功によって得られるリターンが輝いて見える一方で、自信のない人や成功体験を積めなかった人は失敗ダメージがより強調されてしまったり、ダメージが過大評価されてしまって億劫になってしまうことが考えられそうですよね。

 そして後悔とは、この〝リスク・リターンの天秤〟が予想とは違う振る舞いをした時の「あれがわかっていればやったのに」「しなかったのに」といったことだと私は理解しています。計算ミスを悔しがる感覚に似ていますね。

 少年院にやってくる非行少年の多くもそうです。「まさか1年も少年院に入ることになるとは」「捕まらないと思った。やらなければよかった」など……こちらからすると言い訳のように聞こえることを口にすることがあります。が、これは言い訳ではなく、彼らが直面した計算ミスに対する素直な感想なのです。もしもしっかり計算して決断していれば、後悔なんてせずに済んだでしょう。もしリスクとリターンを理解したうえで行動していたら、(これは不謹慎ですが)捕まっても「運が悪かった」くらいの受け止めになるはずですから。

 会社勤めの場面でも同じでしょう。適切に成功リターンと失敗ダメージの天秤を〝正しく〟把握することができれば、自分の選択に後悔は生じないと思います。しかし実際のところは、幸か不幸か様々なイレギュラーが発生してしまい、選択の結末がどうなるかについては最後までわからないことが多いです。

 最良の選択だと思っての過去の決断が、実は後から最悪な結末を迎えてしまうことがある。その時に人間は「あの時にこれがわかっていれば……」「あの時にこうしておけば」みたいなことを思うわけですが、これはまさにイレギュラーに対する執着の典型例と言えるでしょう。個人的には、後悔しても先には進まないので、前向きに反省して次に生かせるようにマインドを切り替えることができれば幸せだと思いますが、バブル崩壊後に生まれてきてから「日本オワコン」の風に晒され続けてきた令和の新社会人たちの多くは、私たち以上に失敗のダメージを重視しているのでしょう。もしかすると「失敗のダメージが予想できないこと」自体をリスクと見なしているのかもしれません。

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