ブルースティック
特定の商品を買い占め、供給不足を誘発し、常識を超えた高値で2次流通させる。いわゆる転売屋による利益目的の不当転売は社会問題になっている。近年はマスクの高額転売が取り沙汰されたが、実は今とあるせっけんが標的になっている。キャピック製品の『ブルースティック』だ。
キャピック製品とは、刑務所などに服役する受刑者が作る刑務所作業製品のこと。矯正施設は自給自足が原則。刑務作業として実施され、ひとつの製品を作り上げることで受刑者の就労支援に寄与している。公益事業目的であるため、販売価格は市場価格の半額程度。
中でも『ブルースティック』はベストセラー商品。価格は3本で400円。優れた洗浄力に加え、非常に長持ちすると主婦層を中心に人気を博し、昨年は約4万9000セットの販売実績を誇る。
潮目が変わったのは去夏。買い占めによって在庫難が頻発。販売開始から25年目にして初の購入個数制限へ踏み切ったという。
「増産を依頼していますが、実現しにくいのが現状です」(矯正協会刑務作業協力事業部・櫻井智氏)
大手CtoC向けECサイトでは2本約4000円で転売されるなど異常事態は現在も続いている。
実は楽天などのECモールで販売している『ブルースティック』も転売品。転売は不法行為ではないため、規制しにくい。買い手にもモラルが求められる時代になりそうだ。
キャッチコピーは〝汚れおとしのスーパースター〟。施設それぞれで製造する製品は異なる。『ブルースティック』は横須賀刑務支所製。
キャピック製品の直販ECは『CAPIC ~ e-shop ~』のみだが、中野にあるアンテナショップや全国34か所の刑務所にある常設展示場でも定価で購入できる。
取材・文/渡辺和博