レカネマブ
エーザイと米・バイオジェンが開発した『レカネマブ』が、画期的な新薬だとして注目を集めている。どのような薬なのか、エーザイ・PR部の担当者に話を聞いた。
「認知症には様々な種類がある中で、最も罹患率が高いのがアルツハイマー型認知症です。症状が出る10~20年くらい前から『アミロイドβ』や『タウ』という名前の特殊なたんぱく質が脳内にたまり、傷つけ、死滅させていくことで、認知機能が落ちていくと考えられています。『レカネマブ』は『アミロイドβ』の除去効果がある新薬です。認知機能の悪化を抑制し、進行を緩やかにすると期待されています」
従来のアルツハイマー病治療薬は、脳内の信号の伝達を活性化させ症状の一時的な改善を図る。これに対し『レカネマブ』は、作用する仕組みが根本的に異なる。
「現段階で『レカネマブ』の投与を受けられるのは、日常生活に支障がないアルツハイマー病による軽度認知障害と軽度の認知症の方に限られます」(エーザイ担当者)
厚労省の専門部会は8月21日に『レカネマブ』の製造・販売を了承。これを受け、近日中に正式に承認される見込みだ。
長寿化に伴い、アルツハイマー病の患者は世界中で急増している。初期段階の進行抑制効果だけではなく、より早期に投与することによる、予防薬としての効果も期待したい。
米国では7月6日に正式承認され、多くの人が使える環境が一足先に整いつつある(写真は米国で発売される点滴製剤)。
次世代のAD病態改善薬の認知機能低下抑制効果のイメージ
『レカネマブ』は次世代のAD病態(アルツハイマー病)改善薬として期待が高まっている。
取材・文/田村菜津季