世界に広がり続けているライドシェア。その市場規模は、2020年に764.8億ドル(約9兆円)、2021年から2028年までの年間平均成長率(CAGR)は16.3%、2028年には2,427.3億ドル(約30兆円)に達すると予測されている(※)。
※Fortune Business Insightsのレポート「ライドシェアリング市場規模、シェア、成長、予測(2028年)」
そんな中、日本ではライドシェア解禁に関する議論が活発化。交通安全や規制緩和、環境への影響など、多岐にわたる論点が展開されている。
一方、ライドシェアが日常にどれほどの利便性や変化をもたらすのか、実際に導入されていない日本ではユーザー視点の情報があがりづらい実態がある。
そこでロコタビでは「ライドシェアは生活にどのような変化をもたらすのか」を探ることを目的に、ライドシェアが普及している国に住む日本人を対象に、生活の変化や日本のライドシェア解禁議論に対する心境についてヒアリングを行った。
「ベトナム」Grabバイクは生活に欠かせない
ホーチミンに住んでいた5年間(4月に帰国)、毎日の通勤も合わせて週に10回以上はGrabバイクを利用していたという渋澤さん。ベトナムにおけるライドシェアは生活に欠かせないものだったと語る。
「私のベトナム生活では、ライドシェアがないとそもそも生活が成り立ちません。特に毎日利用していたGrabバイクは車のタクシーに比べて半分以下と安くて便利でした。
仕事場までの約4キロの道のりが150〜200円程度、台数も多いので2,3分待てばアプリを使ってバイクを捕まえることができます。アプリで行き先を指定しているので、ベトナム語ができなくても大丈夫。明朗会計のため運転手と値段のことで揉めることもありません」
ベトナムに住み始めた5年前、既にGrabバイクが浸透していたと語る渋澤さん。移住時、配車アプリがなかったら不便だっただろうと言う。
「仮に、当時Grabがなければ、ホーチミンは電車がないので、バスか普通のタクシー、あとは自前のバイクなどが選択肢になったと思います。
バスは現地の言葉ができないとハードルがありますし、タクシーもGrabバイクに比べて高い。移住者の中には自分でバイクを運転する人もいて、慣れていれば問題ないですが、私は経験がなかったので、Grabバイクがなかったらずいぶん生きづらかったと思います」
日本のライドシェア導入に関して、外国人旅行者を心配する声を寄せてくれた。
「一体何をしているのだろうと思います。外国人観光客にとってライドシェアがないと本当に不便、心配です。はやく導入してあげてほしいと思います。日本語ができない人にとって、電車に乗ったり、自分でタクシーを捕まえることはハードルが高いので、アプリで完結するライドシェアは安心できると思います」