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「自然言語処理」ってどんな技術?今、注目される理由や活用事例

2023.11.15

AIに関するニュースや検索システムの情報を見ていると、『自然言語処理』という言葉が散見されます。自然言語処理とは、どのような処理を指すのでしょうか?言葉の意味や注目されている理由、活用例を紹介します。処理の仕組みについても確認しましょう。

そもそも自然言語処理とは?

『自然言語処理(Natural Language Processing)』は、英語の頭文字を取って『NLP』とも呼ばれる近年注目を集めている技術です。IT用語としての『自然言語処理』の概要や意味を解説します。

人間の言語をAIが処理・分析する技術

『自然言語』とは、人間が日常的にコミュニケーションに用いている言葉です。日本語だけでなく、世界各地で使われているさまざまな言語が該当します。普段使っている言葉を、コンピューターに処理・分析させる技術や研究分野が『自然言語処理』です。

通常、コンピューターは数列や特定のプログラミング言語を使って処理や分析を行いますが、自然言語処理が可能な『AI(人工知能)』に対しては、人間が普段使っている言葉で命令や指示ができます。

人工言語との違い

一般的に、コンピューターに命令・指示を出すには『人工言語』を使います。人工言語自体の意味は『人間が人為的に作り上げた言語』ですが、IT用語として使う場合には、主にプログラミング言語を指します。

プログラミング言語には数式・数値・アルファベットが含まれ、コンピューターが理解できる形で作られているのが特徴です。人間が使う日本語や英語などとは異なり、ある一定の法則に従って入力します。

プログラミング言語は法則やルールを理解し、使い道を把握している人が活用できる言語です。JavaScriptやPHPといった複数の言語があり、言語によって目的や対応するOSが異なります。

自然言語処理が注目される理由

タイピング

(出典) pixta.jp

自然言語処理は、いったいなぜ注目を集めるようになったのでしょうか?AIが活用されるようになった背景や、理由を確認しましょう。今後はさらに、活用の場が広がっていく可能性があります。

テキストデータの増加

インターネット上のテキストには、消費者の動向や希望が含まれています。インターネット上のテキストが増加し、収集・分析によって企業活動に役立てられるようになったのも、自然言語処理が注目を集める理由です。

AIやIT技術がある程度発展するまでは、テキストデータの調査・分析のために人間が内容を精査していました。しかし、膨大なデータを確認するのは骨が折れる作業です。

自然言語処理を活用すれば作業時間を格段に短縮でき、圧倒的に大きなデータを取り扱えます。人工言語であっても、特定の単語の抽出や一定の法則に従ったカテゴリ分けは可能ですが、より複雑な命令・判断が可能となる自然言語処理が注目されているのです。

労働者の不足や技術力の向上

労働者の不足や、人を配置すると採算が取れない業務では、自然言語処理による技術の活用が広まりつつあります。企業は自然言語処理を含むDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めており、今後も需要は高まっていく目算です。

例えばチャットボットの活用では、コールセンターや問い合わせへの対応の負担を軽減できます。顧客からの質問に対する回答や、簡単な判断であればAIでも可能です。

自然言語処理を活用した言語モデルの研究が進み、顧客対応や業務効率化に対するコストパフォーマンスや処理性能が上がったことも、注目が集まっている理由といえるでしょう。

実は身近な自然言語処理技術

siri

(出典) pixta.jp

『自然言語処理』とだけ聞くと、どのような技術なのか判断しにくいかもしれません。自然言語処理を活用したサービスの中には、普段使っているスマホやパソコンで活用できる身近な技術も存在します。主なサービスを確認しましょう。

大きな注目を集める「ChatGPT」

自然言語処理を活用した大規模言語モデルをサービスとして提供する『ChatGPT』は、アメリカのOpenAI社が開発しました。AIとのチャットを通して、文章の生成・翻訳・要約などが可能となっています。質問への回答、テキストデータの学習を生かした機械翻訳など、さまざまな使い方ができるチャットサービスです。

機能拡張のためのプラグインを使うとさらに活用の幅が広がり、画像や動画の生成も可能になります。ChatGPTには複数のバージョンがあり、機能や料金はそれぞれ異なるため事前に確認が必要です。プラグインの使用や業務への活用を考えている場合は、有料版の利用が適しているでしょう。

自治体や学校でもChatGPTを導入しているケースが増えており、企業の業務効率化にも貢献しています。

Siriなどの「音声対話システム」

近年研究・開発が進んでいる分野に、音声対話システムがあります。iPhoneに搭載されている『Siri』や、音声AIとして販売されている『Alexa』などが、音声対話システムを活用した一例です。

音声対話システムは利用者の話を聞き取り、検索結果の表示・電化製品のオンオフ・質問への回答など多様な動作をします。どこまでの処理ができるかはシステムの設定次第ですが、活用によって生活が便利になるでしょう。

話しかけるだけで応答や処理が可能で、入力ができない場合や手がふさがっている場合も、スムーズに使えるのが特徴です。

Google翻訳などの「機械翻訳」

Google翻訳やDeepL翻訳などの機械翻訳でも、自然言語処理が活用されています。言語を入力または音声入力すると、他の言語に自動で翻訳してくれる便利なサービスです。

別の言語に翻訳するには、入力した言語の意味を理解し、別の言語へ置き換えなければなりません。サービスごとに翻訳の仕組みは異なりますが、自然言語を処理できる性能を備えていなければ、正確な翻訳は成り立たないでしょう。

かつての機械翻訳は限られた言語や短文・単語程度の翻訳に限定されていましたが、技術の向上を受け、近年では自然で正確な翻訳が可能になりつつあります。

Yahoo!などの「検索エンジン」

各社が公開している検索エンジンでも、自然言語処理が活躍しています。

入力した単語だけに反応して検索結果が出ているように見えますが、それだけではありません。誤字脱字やうろ覚えの単語であっても最適な結果が出てくるのは、機械学習によってシステムが文章の意図を推測できるようになっているからです。

単語が一致していなくても共通する話題や類語が表示されるなど、あいまいなワードによる検索にも対応しています。

例えばGoogle検索では、『BERT』と呼ばれる自然言語処理技術が使われています。独自の機械学習によって精度を高め、ユーザーにとって最適な検索結果が表示されるよう考えられているシステムです。

自然言語処理に欠かせない仕組み

パソコンを操作する

(出典) pixta.jp

自然言語処理のシステムには、機械が自然言語を理解するための仕組みが組み込まれています。まずは根本的な仕組みについて確認しましょう。

機械可読辞書

コンピューターが自然言語を処理するには、不明な点があったときに参照できる辞書のようなものが必要です。この辞書は、『計算機用辞書』あるいは『機械可読辞書(Machine Readable Dictionary)』と呼ばれます。

システムによって搭載されている辞書は異なりますが、単語の意味や文脈の理解に必要となる情報が、機械に理解できる形で書かれているのが特徴です。

自然言語処理では、コンピューターが形態素解析や構文解析を行う際に、搭載された辞書を参照して意味を理解します。人間が言葉を覚えるのと同じように、コンピューターも辞書を使って内容を把握しているのです。

コーパス

『コーパス』は、自然言語で書かれた文章を集めた、例文集のようなデータベースです。膨大な文章が記録され、容易に検索できるように整理されています。

インターネット上で人間が活用する『コーパス』には日本語・英語など複数の種類があり、実際の使われ方を学習したいときに便利です。

自然言語処理を行うシステムでは、辞書と同様に機械が理解できる形のコーパスを準備しなければなりません。搭載されたコーパスは、解析した文章・単語の実例を検索し、コンピューター側の理解が正しいかチェックする目的で使われます。

自然言語処理の主なステップ

パソコンを操作する手元

(出典) pixta.jp

自然言語処理を行うコンピューターは、文章を理解するためにいくつかのステップを踏んでいます。文章解析の流れや、特徴を確認しましょう。

形態素解析

形態素とは、意味を持つ最小の言語単位です。

自然言語処理における『形態素解析』は、文章を最小単位で区切る作業を指します。例えば、『私は家で寝ます』という文章を『私/は/家/で/寝/ます』のように区切り、分解した最小の単位が形態素です。

一つの文章を形態素まで分解した上で解析することで、その文章が何を意味しているのかをコンピューターが理解しやすくなります。

構文解析

形態素ごとに分解された文章は、文章の構造ごとに分類され『構文解析』が行われます。主語・述語のように大きなカテゴリだけでなく、名詞句・動詞句・形容詞句といった種類ごとに細分化していくのが基本です。

構文解析では文章を構造化し、いくつかの解釈を導き出します。例えば、『黄色いひよことニワトリが歩いている』という文章では、『黄色い』が『ひよこ』を修飾しているのか、『ひよことニワトリ』を修飾しているのかは、明確ではありません。

それぞれの解釈が合っているか間違っているかは、構文解析の時点では判断されず、次のステップに進みます。

意味解析

意味解析は、文章の正しい意味を理解するための作業です。構文解析では日本語のルールに沿って、可能性があるものを全てピックアップしますが、それだけでは正しい理解はできません。

『黄色いひよことニワトリが歩いている』という文章を正しく理解するには、『ひよこは黄色い』『にわとりは白(または茶色)が多い』という基礎知識が必要です。

コンピューターは、コーパスの例文やこれまでの傾向から、正解を導き出します。あくまでも、これまでの学習経験や使い方から推察されるものです。膨大なデータから意味を解析すれば、正解に近づきやすくなります。

文脈解析

複数の文章で構成された自然言語をコンピューターが理解するために、『文脈解析』が行われます。前後の文章の意味を理解し、全体の内容を把握するのが目的です。

特に文章が複数になると、主語や係り受けの判断が難しくなります。『次郎は目玉焼きを作った。それは、今日の夕食になる』という文章があった場合、一文に分解するだけでは正しい理解ができません。

『それ』が『目玉焼き』であると理解するには、両方の文をつなげて考える必要があります。自然言語処理の中でも、難易度の高い作業です。新しい技術を取り入れた一部のチャットボットやAIには、複数の文章を理解する機能が備わっています。

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